「LINEスタンプで稼げる」は本当か——120円売れて手元に来るのは42円、作家1人あたりは月約200円【2026年版】
「LINEスタンプで稼げる」は本当か、収入を公式の計算式で検証。120円売れて作家に届くのは42円、作家1人あたりの取り分は月約200円、1セットの時給は約490円。送金手数料495円の罠と出口まで実数で解説します。
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LINEのスタンプ販売が個人に開放された2014年、最初の1か月の販売総額は1.5億円を超え、販売中のスタンプの61.7%が1セットで1万円以上を売り上げました(LINE発表・gamebiz報道)。このとき並んでいたスタンプは、わずか1,200セットです。
それから10年。LINEヤフーによると、2024年9月時点で累計2,300万パッケージ以上のクリエイターズスタンプが販売され、750万人以上のクリエイターが活動しています。「描いて出せば、寝ていても売れる」は今も成り立つのか。LINE Creators Marketの公式ヘルプに載っている計算式と、LINEが公表した販売実績、2026年9月16日に数えた人気ランキングで検証しました。
先に結論:ウワサと現実の対照表
| ウワサ | 検証結果 |
|---|---|
| 「スタンプが売れればお小遣いになる」 | 120円のスタンプが1セット売れて作家に届くのは42円(公式の計算式から算出) |
| 「LINEスタンプは儲かる市場」 | 5年間の販売総額は690億円。ただし作家約200万人でならすと、1人あたりの取り分は月約200円 |
| 「一発当てれば億万長者」 | 年収1億円以上は5年間で26人。上位10人の平均販売額は約7.7億円で、この10人だけで全体の1割を超える |
| 「描く手間に見合う」 | 平均的な1セット(5年間の売上約1.4万円)の取り分4,900円を、40個を描く10時間で割ると時給約490円 |
| 「キャラがかわいければ売れる」 | 人気ランキング上位20セットのうち13セットがちいかわ(2026年9月16日実測) |
そもそも:LINEスタンプの販売とは
LINEのトークで文字の代わりに送る絵がスタンプです。企業やキャラクターの「公式スタンプ」とは別に、個人が作って売る「クリエイターズスタンプ」があり、その売り場が2014年に始まったLINE Creators Marketです。
公式の制作ガイドラインでは、1セットの個数は8個・16個・24個・32個・40個から選びます。画像はPNG形式で、スタンプ画像は最大370×320px。イラストが描けなくても、スマホの写真や動画からスタンプを作れる公式の無料アプリ「LINEスタンプメーカー」があります。
作ったスタンプは審査に出し、承認されると販売できます。審査ガイドラインでは、第三者の商標権・著作権などを侵害するものや、企業の広告・宣伝を目的としたものなどが販売できないものとして挙げられています。在庫も発送もないので、元手はほぼかかりません。
検証①:1セット売れると、作家にいくら届くか——公式の計算式
販売価格は、アイテムごとに決められた価格から選びます。公式ヘルプの価格表では、通常のスタンプは120円〜(50 LINEコイン)、250円〜、370円〜、490円〜、610円〜の段階があります(アニメーションスタンプなどは250円〜)。
作家に入る「分配額」の計算式は、公式ヘルプに次のように書かれています(2015年2月1日以降に審査申請したスタンプ)。
(売上総額 − App Store、Google Playなどのプラットフォーム毎に設定される手数料)× 50%
プラットフォームの手数料は、Google Play・LINE STOREが売上総額の30%。Apple App Storeは、2026年1月1日以降に日本で購入された場合は26%、それ以外は30%です。これで120円のスタンプを計算すると、次のようになります。
[120円のスタンプが1セット売れた場合]
売上 120円
ストアの手数料(30%) -36円
残り84円の半分(LINEの分) -42円
作家の分配額 = 42円(売上の35%)
※iPhone(日本・2026年1月以降)で買われた場合
(120円 - 26%)× 50% = 44円
さらに、実際に送金される「送金可能額」は、分配額から源泉所得税を差し引いた金額です(公式ヘルプ)。LINEコインで買われた場合は、日本での購入分は1コイン=2.13円(2024年12月1日以降)で換算されるので、50コインのスタンプの売上は106.5円として計算されます。
一方で、買い切りだけが収入源ではありません。使い放題の「LINEスタンプ プレミアム」で送られた分も分配の対象で、2026年7月1日以降の売上は「サブスクリプションサービスユーザー数×12円(税別)×送信割合」で計算されます。たくさん送られるスタンプほど分配が増える仕組みです。
検証②:みんなはいくら稼いでいるのか——5周年の公表値をならす
LINEは開始5年の2019年5月に、利用実績を公表しています(ITmedia報道)。
- 5年間の販売総額: 690億円超
- 登録クリエイター数: 世界230か国で約200万人
- 販売中のスタンプ: 490万セット超
- 年収1億円以上のクリエイター: 5年間で26人
- 上位10人の累計販売額: 平均7億7,357万円
これを作家1人あたりにならすと、次の数字になります。
690億円 ÷ 約200万人 = 約3.45万円(5年間の売上)
× 35%(手数料30%を引いて半分)= 約1.2万円
÷ 60か月 = 月 約200円
登録しただけで出品していない人も含んだ数字なので、実際に売っている人の平均はこれより上です。ただし、平均を押し上げている人たちもいます。上位10人の累計は合計約77億円で、たった10人で全体の約1割を占めます。
検証③:今、何が売れているか——人気ランキングの上位を数えた
2026年9月16日に、LINE STOREのクリエイターズスタンプ人気ランキングを上から数えました。
| 範囲 | セット数 | うち「ちいかわ」関連 |
|---|---|---|
| 上位20 | 20 | 13 |
| 上位36(1ページ目) | 36 | 14 |
上位20のうち13セットを、アニメやグッズでも知られるキャラクター「ちいかわ」が占めていました。一方で、15位「動く▶ず〜っと使える♡短いお返事スタンプ」や26位「動く▶ずっと使える♡大人の気遣いスタンプ」のように、キャラクターの知名度ではなく「使う場面」で選ばれている作品も上位に入っています。無名のキャラクターが戦うなら、毎日のトークで使う言葉をどう選ぶかが勝負どころになります。
スタンプの分配金は「引かれた額」で届く
LINE Creators Marketの送金可能額は、分配額から源泉所得税を差し引いた金額です(公式ヘルプ)。会社員でも、給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要になります(国税庁 No.1900)。マネーフォワード クラウド確定申告なら、口座に入った分配金や、ペンタブ・ソフトなど制作の経費をまとめて記録でき、「いくら引かれて、いくら残ったか」を後から集め直さずに済みます。
マネーフォワード クラウド確定申告を無料で試す →検証④:描いた時間で割ると、時給はいくらか
5年間の販売総額690億円を、販売中だった490万セットで割ると、1セットあたりの売上は平均約1.4万円です。これを公式の計算式に当てはめます。作業時間は公表データがないため、1個15分で40個を描く=10時間と仮定しました。
[平均的な1セット・5年間の売上]
売上 14,000円
ストアの手数料(30%) -4,200円
残りの半分(LINEの分) -4,900円
作家の取り分 = 4,900円
4,900円 ÷ 描いた10時間 = 時給 約490円
しかもこれは、5年かけて積み上がった売上であり、上位の作品に引き上げられた平均です。テストで1人だけ満点が続くと平均点が上がるのと同じで、真ん中くらいの作品の売上は、この平均より低いと考えるのが自然です。
都合の悪い話
- ライバルは毎日約6,000セット増える: 累計2,300万パッケージを開始からの約10年でならすと、1日あたり約6,000セットが新しく並んだ計算です。最初の1か月に並んでいたのは1,200セットでした
- 作家は5年ちょっとで約4倍: 2019年の約200万人から、2024年9月時点で750万人以上に増えています
- 1,000円をこえるまで受け取れない: 分配額の合計が1,000円を超えると送金申請ができます。42円のスタンプなら24セット売れてようやく届く金額です
- 銀行振込の手数料は495円: 日本国内の銀行振込では振込手数料495円がかかります。1,000円ちょうどで受け取ると、半分近くが手数料で消えます
- 人のキャラクターは使えない: 審査ガイドラインは、第三者の商標権・著作権などを侵害するものを販売できないとしています。人気キャラクターに似せた絵は通りません
それでも残る「出口」
- 元手はほぼゼロ: スマホと無料の公式アプリで作れて、在庫も発送もありません。損をしにくい副業です
- 描くのは一度きり: 売れた分は月末締めで集計され、翌月中旬に分配額が確定します。送金申請をしなければ分配額は蓄積されるので、ためてからまとめて受け取れば手数料の割合を下げられます
- 使われるほど分配が増える: LINEスタンプ プレミアムの分配は送信割合で決まります。家族や友だちが毎日使うスタンプは、買い切り以外の収入にもつながります
- iPhoneの手数料が下がった: 2026年1月以降、日本でのApp Store購入分は手数料が26%になり、120円のスタンプの分配額は42円から44円に増えました
- 描いた絵は、ほかの売り場にも出せる: 同じ絵柄をグッズに回す道(SUZURIのPOD出品を1か月試した記録)も、受注制作で売る道(ココナラで実際に売れたジャンル5つの実データ)もあります。1セット42円の世界だけで勝負しないのが、現実的な打ち手です
- 並んだときに選ばれるかが最初の関門: ランキング上位の作品は、一覧に並んだ状態で内容が伝わります。一覧画像で売上が動く構造は商品サムネを自作と外注で比べた検証と同じです
判定:ずんだ検証ラボ「ウワサ格付け」はBランク
5つの物差し(各1〜5点・高いほど取り組む人に有利)で採点しました。
| 軸 | 点数 | 理由 |
|---|---|---|
| 再現性 | 1 | 作家1人あたりの取り分は月約200円。上位10人で全体の1割 |
| 稼げる額 | 1 | 平均的な1セットでも時給約490円(5年ぶんの売上で計算) |
| 始めやすさ | 5 | スマホと無料の公式アプリで作れ、8個から販売できる |
| リスク | 4 | 元手はほぼゼロ。ただし小さな売上は振込手数料495円で削られる |
| 手間 | 2 | 40個描くと10時間(仮定)。審査もある |
合計13点でBランク。「始めやすく、損はしにくい。でも、お金目当てなら向かない」というのが数字の答えです。自分や身近な人が使うスタンプを作り、おまけでお小遣いが入れば上出来、くらいの距離感が現実的です。
よくある質問
Q. 120円のスタンプで作家に届くのは本当に42円?
A. LINE Creators Marketの公式ヘルプにある計算式「(売上総額−プラットフォーム手数料)×50%」に、Google Play・LINE STOREの手数料30%を当てはめた数字です。日本のApp Storeで2026年1月以降に買われた分は手数料26%で44円になります。さらに、送金される額は源泉所得税を差し引いた金額です。
Q. 作家1人あたり月約200円は、どうやって出した?
A. LINEが2019年5月に公表した「5年間の販売総額690億円超」「登録クリエイター約200万人」から、690億円÷200万人×35%÷60か月で計算しました。登録だけで販売していない人も含む数字です。
Q. ランキングはいつ、どこを数えた?
A. 2026年9月16日に、LINE STOREの「クリエイターズスタンプ」人気ランキングの1ページ目(36セット)を数えました。ランキングは日々入れ替わるので、同じ手順で確認するのが確実です。
Q. 絵が描けなくても出品できる?
A. できます。LINEスタンプメーカーはLINE公式の無料アプリで、スマホの写真や動画からスタンプを作れます。ただし公式ヘルプによると、2019年6月26日以降にLINEスタンプメーカーから審査リクエストしたスタンプは、LINEスタンプ プレミアムの分配額が0円になります(Version4.0以上で、申請時に「有料ダウンロード/売上分配額あり」を選んだスタンプは除く)。
Q. 今から始めても遅い?
A. 最初の1か月のように「並べれば売れる」時期ではありません。ただ、上位には「短いお返事」「大人の気遣い」のように使う場面で選ばれた作品も入っており、毎日送りたくなる言葉を選べるかどうかが分かれ目になっています。
というわけで——「売れる市場」と「稼げる作家」は別の数字
690億円という市場の大きさは本当です。ただ、その売上は200万人の作家と、ストアとLINEで分けられ、作家1人の手元に残るのは月約200円になりました。描いた時間を考えると、お金のためだけに始めるには厳しい数字です。
「作って売る」副業の同じ構造は、AI素材をBOOTHで売った実録、「ストックフォトで不労所得」の検証、「Kindle出版で月5万」の検証、「メルカリのハンドメイドで月5万」の検証でも比べられます。
【2026年9月追記】:「では、描けるなら何をどう売るのが一番マシなのか」という質問を何度かいただきました。分配率が固定されているスタンプと違い、自分で値段を決められる売り場なら、1点あたりの手取りは数百円〜千円台まで上がります。実際の売り場比較はBOOTHとBASEの並売データに、一覧に並んだときの見せ方で売上が1.9倍動いた実測はサムネの自作と外注の比較にまとめています。
この記事の主な参照データ:LINE Creators Marketヘルプ「送金可能額はどのように計算されますか?」(分配額の計算式・プラットフォーム手数料・LINEスタンプ プレミアムの計算式、2026年9月16日確認・https://help2.line.me/creators/web/pc?lang=ja&contentId=200000334)/同「送金可能額は、いつ⋅どのように送金されますか?」「(日本国内)送金される手数料はいくらかかりますか?」(1,000円・495円、2026年9月16日確認・https://help2.line.me/creators/web/pc?lang=ja&contentId=20005127)/同「アイテムの販売価格は設定できますか?」(価格表・LINEコイン換算レート、2026年9月16日確認)/LINE Creators Market スタンプ制作ガイドライン・審査ガイドライン(https://creator.line.me/ja/guideline/sticker/)/LINEスタンプメーカー公式サイト(https://creator.line.me/ja/stickermaker/)/LINEヤフー プレスリリース「10年を彩るLINEスタンプ&受賞クリエイター10名を発表」(2024年11月28日・https://www.lycorp.co.jp/ja/news/release/016587/)/ITmedia NEWS「LINE自作スタンプ、上位10人の平均販売額は7億7000万円」(2019年5月8日)/gamebiz「LINE Creators Marketの利用動向を公開」(2014年、最初の1か月の販売実績)/LINE STORE クリエイターズスタンプ人気ランキング(実測、2026年9月16日)/国税庁 タックスアンサー No.1900