「ウイスキーは寝かせれば値上がりする」は本当か——山崎12年をメルカリで売ると手取り17,250円、値上がりの正体はメーカーの定価改定だった【2026年版】

山崎12年の定価17,600円とメルカリ売却済み43本の中央値20,000円を実測。手数料と送料を引くと手取り17,250円で定価を350円下回りました。酒類を繰り返し売るには国税庁の販売業免許が必要な点も確認。

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サントリーは2025年11月4日、2026年4月1日出荷分から「山崎12年」(700ml)の希望小売価格を15,000円から16,000円(税別)に改定すると発表しました。税込では17,600円です。2024年3月までの山崎12年は税別10,000円(税込11,000円)だったので、2年余りで定価は1.6倍になっています。

この値上がりが、SNSでは「国産ウイスキーは寝かせておくだけで値上がりする投資」として語られています。ただし、ウイスキーの熟成が進むのは樽の中だけで、瓶に詰めた後の中身は変わりません。では、今日定価で1本手に入れて売ると手元にいくら残るのか。公式の定価、メルカリの売却済み実績、手数料と送料、そして国税庁の免許のルールまで数えました(2026年9月16日時点)。

先に結論:ウワサと現実の対照表

ウワサ検証結果
「山崎は定価より高く売れる」本当。メルカリで売れた山崎12年(700ml・1本売り)43本の中央値は20,000円で、定価17,600円以下で売れた1本は0本
「定価で買って売れば儲かる」メルカリでは手数料10%と送料750円を引くと手取り17,250円。定価を350円下回る
「寝かせれば値上がりする」値上がりの大きな部分はメーカーの定価改定(税込11,000円→16,500円→17,600円)。瓶の中で中身が育つわけではない
「ネットで繰り返し売れば副業になる」国税庁は、継続して酒類を出品・販売するなら酒類販売業免許が必要と明記。メルカリも免許なしの継続出品を禁止している

そもそも:ウイスキー投資とは何か

ウイスキーは、蒸留した原酒を木の樽で何年も寝かせて造ります。「12年」は樽で熟成させた年数を表す表示で、瓶に詰めた後は熟成は進みません。家の棚に10年置いても、「12年」が「22年」になることはありません。

それでも値段が動くのは、欲しい人に対して出回る本数が足りないからです。山崎12年は、2026年9月時点でも家電量販店やスーパーの店頭に定価で並ぶことが少なく、関東のイオン(東京・神奈川・千葉・山梨の店舗)では、アプリ登録者を対象にしたWEB抽選(9月4日〜8日受付、9月23日当選発表)で販売されていました。「ウイスキー投資」とは、この定価と実売価格の差を狙って、定価で手に入れた瓶を高く売ることを指す場合がほとんどです。

検証①:定価はいくらか——サントリーの2回の価格改定

サントリーの国産ウイスキーは、この2年で2回値上げされています。

商品(700ml)2024年3月まで(税別)2024年4月〜(税別)2026年4月〜(税別)2026年4月〜(税込)
山崎12年10,000円15,000円16,000円17,600円
白州12年10,000円15,000円16,000円17,600円
響 JAPANESE HARMONY5,500円7,500円8,000円8,800円
山崎(年数表記なし)4,500円7,000円7,500円8,250円
山崎18年―55,000円61,000円67,100円

2024年3月までに税込11,000円で山崎12年を買っていた人から見れば、今の定価は6,600円高くなっています。「寝かせたら値上がりした」の多くは、このメーカー側の定価改定で説明できます。

検証②:メルカリでいくらで売れているか——売却済みを1本ずつ数えた

メルカリで「山崎12年」「白州12年」「響 ジャパニーズハーモニー」をそれぞれ検索し、売り切れ(売却済み)を新しい順に集計しました(2026年9月16日22時台)。空き箱・空き瓶・ミニボトル・複数本セット・旧ラベルや記念ラベル・県内限定の店舗出品は除き、現行の700ml・1本売りだけを数えています。

銘柄数えた本数中央値最安/最高定価(税込)
山崎12年43本20,000円18,000円/25,000円17,600円
白州12年32本21,050円15,500円/25,000円17,600円
響 JAPANESE HARMONY26本11,055円10,800円/15,000円8,800円

山崎12年は43本すべてが定価より高い値段で売れていました。43本のうち37本は19,000円〜21,000円の範囲に収まっており、「倍の値段で売れる」ような話ではなく、定価の1.1〜1.2倍あたりで値段がそろっています。

お酒の買取店の公表額も確認しました。ある買取専門店が公表している山崎12年(700ml)の買取参考価格は、箱あり19,600円/箱なし19,200円(2026年9月11日更新)です。

検証③:手数料と送料を引くと、手元にいくら残るか

メルカリの販売手数料は10%。送料は瓶1本を箱に入れて送る想定で、らくらくメルカリ便の60サイズ(3辺合計60cm以内・2kg以内)750円としました。

[山崎12年] 定価17,600円で入手 → 中央値20,000円で販売
販売手数料(10%)   -2,000円
送料(60サイズ)      -750円
手取り = 17,250円   →  定価比 -350円

[白州12年] 定価17,600円で入手 → 中央値21,050円で販売
販売手数料(10%)   -2,105円
送料(60サイズ)      -750円
手取り = 18,195円   →  定価比 +595円

[響 JAPANESE HARMONY] 定価8,800円で入手 → 中央値11,055円で販売
販売手数料(10%)   -1,106円
送料(60サイズ)      -750円
手取り = 9,199円    →  定価比 +399円

[山崎12年を買取店へ] 定価17,600円で入手 → 箱あり19,600円で買取
手数料・送料なし   →  定価比 +2,000円

メルカリで売ると、3銘柄とも定価との差は**-350円〜+595円**。割れ物を包む緩衝材や箱代はこの計算に入っていません。いちばん残るのは買取店に持ち込む場合で、それでも1本あたり2,000円です。しかも、その前提は「定価で手に入れられた」こと。山崎12年を定価で買う方法の中心は抽選で、何本当たるかは運で決まります。

「いくら入って、いくら出たか」を記録しておく

フリマやスキル販売など給与以外の所得が年20万円を超えると、会社員でも確定申告が必要になります(国税庁 No.1900)。マネーフォワード クラウド確定申告なら、フリマの入金や購入したカードの明細を口座・カード連携で取り込めるので、「いくら使って、いくら残ったのか」を後からレシートで集め直さずに済みます。

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売る前に知っておく話:お酒を繰り返し売るには免許がいる

国税庁の「お酒に関するQ&A【販売業免許関係】」は、フリマサイトやネットオークションへの出品について、こう答えています。

  • 継続して酒類を出品し販売を行う場合には酒類の販売業に該当し、販売業免許が必要(酒税法第9条)
  • ただし、自分の飲用目的で購入した、または人からもらった酒類のうち、家庭で不要になった酒類を出品するような、通常継続的な販売に当たらない場合は免許は不要

メルカリも「酒類の継続的な出品・販売について」(2023年6月30日、2026年3月18日更新)で、免許を受けずに継続的に酒類を出品する行為を禁止しており、国税庁からの依頼に協力して個別に注意喚起することがあると書いています。

では免許を取れば、ネットで山崎を売り続けられるのか。国税庁「通信販売酒類小売業免許申請の手引」によると、新たにこの免許で扱える国産の酒類は、前の会計年度の品目ごとの課税移出数量がすべて3,000キロリットル未満の酒類製造者のお酒などに限られます(輸入酒類には制限なし)。大手メーカーの国産ウイスキーは、この条件の外にあると考えられます。免許には登録免許税3万円がかかり、審査の標準処理期間は2か月です。

「定価で仕入れてネットで繰り返し売る」という形は、個人の副業としては成り立ちにくい仕組みになっています。

都合の良い話もある

  • 2024年3月までに買っていた人は差が大きい: 税込11,000円で買っていた山崎12年を買取店の19,600円で手放せば、8,600円の差になります。家で飲むつもりで買って、不要になった1本を手放すなら免許も不要です
  • 白州12年と響はメルカリでもわずかにプラス: 今回の中央値では、白州12年が+595円、響 JAPANESE HARMONYが+399円でした
  • 抽選は応募自体が無料のものが多い: 当たれば定価で買えるので、飲みたい人にとっては定価で手に入れる現実的な道です

判定:値段は本当に定価より高い。ただし「投資」としては1本2,000円が上限の運ゲーム

山崎12年がメルカリで定価より高く売れているのは本当です。43本に定価割れはありませんでした。ただし、手数料と送料を引くとメルカリでは定価を350円下回り、買取店に持ち込んでも差は1本2,000円。その1本を定価で手に入れる道は主に抽選で、繰り返し売るには国税庁の販売業免許が必要です。

値上がりの大きな部分は、瓶の中の熟成ではなくメーカーの定価改定でした。「寝かせれば上がる」は、飲むために買った1本がたまたま値上がりした、という話に近いものです。

よくある質問

Q. 中央値はいつ・どうやって数えた数字?

A. 2026年9月16日22時台に、メルカリで各銘柄名を検索し、売り切れを新しい順に表示して集計しました。空き箱・空き瓶・ミニボトル・複数本セット・旧ラベル・記念ラベル・県内限定の店舗出品を除き、現行の700ml・1本売りだけを数えています。相場は日々動くので、実行前にご自身で同じ手順を踏むのが確実です。

Q. 家にある山崎を1本売るのは違法?

A. 国税庁のQ&Aでは、自分で飲むつもりで買った、または人からもらったお酒のうち、家庭で不要になったものを出品する場合は販売業免許は不要とされています。免許が必要になるのは、継続して出品・販売する場合です。

Q. 定価で山崎12年を買う方法は?

A. 2026年9月時点では、スーパーや家電量販店、百貨店などの抽選販売が中心です。関東のイオンでは、アプリ登録者向けのWEB抽選(受取は東京・神奈川・千葉・山梨の店舗)が行われていました。条件や受付期間は店ごとに違うため、各店の抽選ページで確認してください。

Q. これからも値上がりする?

A. 2026年9月16日時点で、サントリーから次の価格改定は発表されていません。定価が上がった2024年4月と2026年4月の前後で相場が動いたことは確認できますが、次にいつ・いくら動くかは分かりません。

というわけで——育つのは樽の中だけ

ウイスキーが熟成するのは樽の中だけで、瓶に詰めた後の12年は12年のままです。今日の数字で見ると、定価で手に入れた山崎12年をメルカリで売ると350円のマイナス、買取店でも2,000円のプラスでした。

「定価より高く売れる=儲かる」とは限らない構造は、「レゴ投資は年利11%」の検証、「ラブブ転売はまだ儲かる」の検証、「スニーカー転売は儲かる」の検証でも繰り返されています。


この記事の主な参照データ:サントリー 価格改定のニュースリリース(2025年11月4日発表・2026年4月1日出荷分から、https://www.suntory.co.jp/news/article/14932.html ※改定前後の価格は酒類買取店リカスタのまとめ記事で照合)/サントリー 2024年4月1日出荷分からの価格改定(グルメ Watch 2023年11月21日、https://gourmet.watch.impress.co.jp/docs/news/1548878.html)/メルカリ売却済み実測(山崎12年・白州12年・響 JAPANESE HARMONY、2026年9月16日)/お酒買取専門店の山崎12年買取参考価格(箱あり19,600円・箱なし19,200円、2026年9月11日更新)/メルカリ公式コラム「60サイズ」(らくらくメルカリ便750円)/国税庁「お酒に関するQ&A【販売業免許関係】」Q5(https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/03b/05.htm)/メルカリ「酒類の継続的な出品・販売について」(2023年6月30日、2026年3月18日更新、https://jp-news.mercari.com/info/28728)/国税庁「通信販売酒類小売業免許申請の手引」(https://www.nta.go.jp/taxes/sake/menkyo/tebiki/8285.pdf)/入荷Now「サントリーウイスキー山崎各種の抽選・予約情報まとめ」(2026年9月16日現在)/国税庁 タックスアンサーNo.1900

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