「キッチンカーは低リスクで月商100万」の現実——3年で6割が廃業・手取りは月20〜30万・製作会社の倒産まで【2026年版】

『初期費用300万で低リスク開業・月商100万も狙える』というキッチンカー開業の営業トークを検証。1年以内廃業率約30%・3年で約6割という業界データ、出店料15〜40%の場所問題、夏の車内50℃の労働実態、2025年の製作会社破産(負債約2〜3億円)まで数字で確認しました。

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「キッチンカーなら店舗より低リスク。初期費用300万円で、場所を選べば月商100万円も狙えます」

開業セミナーや車両製作会社のサイトで、必ず出てくる売り文句です。固定店舗の飲食店より初期費用が安いのは事実で、だからこそ響きます。

でも先に結論を言うと——キッチンカーは「低リスク」ではなく「低参入障壁」です。入口のハードルが低いだけで、業界データでは1年以内に約30%、3年で6割超が廃業。手取りは月20〜30万円に集中し、「月商100万」は固定の出店場所を押さえた上級者の数字です。

さらに2025年には、車両製作会社の破産で「代金を前払いしたのに車が来ない」リスクが現実になりました。今日は入口から出口まで、全部数字で見ていきます。

先に結論:ウワサと現実の対照表

ウワサ検証結果
「低リスクで開業できる」正しくは低参入障壁。1年以内廃業率約30%・3年で6割超(業界調査)
「初期費用300万円」軽トラ新車ベースなら概ね本当。ただし1.5tは400〜600万・リースは総額220〜780万
「月商100万も狙える」平均帯は月商60〜150万だが、出店料15〜40%+原価30%で手取りは月20〜30万に集中
「場所は自由に選べる」場所がないと詰むのが業界の常識。良い場所は先客とオーナー審査で埋まっている

検証①:初期費用の本当の内訳

項目相場
軽トラベース製作(新車)250〜300万円
1.5tトラックベース製作400〜600万円
中古車両100〜300万円(+整備・改造費が乗りがち)
営業許可申請3〜4万円
リース利用月4〜13万円+頭金30〜150万円(5年総額220〜780万円)

「300万円で始められる」は嘘ではありませんが、一番安い構成の数字です。しかも2021年6月の食品衛生法改正で、給水タンクの容量(40L/80L/200L)によって作れるメニューが制限されるようになりました。40Lタンクの安い車では簡易調理しかできず、「あとからメニューを増やしたくなって改造費」が定番の追加出費です。

検証②:売上100万円と手取り20万円は両立する

月商の平均帯は60〜150万円という調査があり、「月商100万」自体は盛りすぎではありません。問題はそこからの引き算です。

  • 出店料: オフィス街ランチで「1日5,000円 or 売上の15%」、イベントでは15〜40%
  • 原価率: 飲食の標準で30%前後
  • 車両関連: ガソリン・保険・駐車場・リース料・仕込み場所の賃料
  • 残る手取りは月20〜30万円に集中(業界調査・中小企業診断協会の開業支援資料)

月商100万円でも、出店料20%+原価30%+諸経費を引くと、時給換算で会社員を下回るケースが普通に発生します。1日の実働は仕込み→移動→営業→洗浄→翌日準備で12時間超、夏場の車内は50℃近く——「副業感覚」で回る労働量ではありません。

検証③:勝敗を分けるのは料理ではなく「場所」

業界の常識は「場所が先、車は後」です。

  • 平日ランチで安定して売れるのは、オフィス街・病院・大学など固定の出店枠
  • その枠は既に先客がいて、ビルオーナーや仲介サービスの審査がある
  • イベント出店は日商10万円超も出るが、出店料が高く天候リスクは自己負担(雨天中止でも返金されないケースあり)

廃業パターンの典型は「車を先に作ってしまい、出る場所が見つからないまま固定費だけ出ていく」。車両という数百万円の買い物を、営業場所が決まる前にさせる——ここが「低リスク」という営業トークの一番危ない部分です。

検証④:事件簿——製作会社が先に倒れた

2025年1月、キッチンカー製作を手がけていた千葉県の会社が破産手続き開始決定を受けました(負債は約2〜3億円と報道)。コロナ期のキッチンカーブームで受注を伸ばした後、需要の反動減と新規事業の失敗で資金繰りが行き詰まった形です。

ここで知っておくべきなのは、車両製作は前払い・納期数ヶ月という商習慣です。製作会社が途中で倒れると、支払済みの代金は一般債権として返金待ちの列に並ぶことになり、全額戻る保証はありません。

さらに業界には、個人のDIYレベルの改造で「製作会社」を名乗る業者が混ざっているとの指摘や、フランチャイズ型では車両価格が相場より100万円以上高い・「ロイヤリティ無料」の代わりに食材や車両で回収する、といった構造も報告されています。「ロイヤリティ0円」は「別の名目で払う」の翻訳です。

それでもやるなら:順序を逆にしない

成功しているキッチンカーの共通点は、はっきりしています。

  1. 場所が先: 平日の固定出店枠(オフィス街・施設)を確保してから車を作る
  2. 比較が先: 製作会社・FC本部は必ず複数社の見積と契約書を並べる(車両価格・撤退条件・ロイヤリティの名目)
  3. 数字が先: 「月商100万」ではなく「手取り20万円を安定させる」を初年度目標に置く

比較材料は「無料で集められる資料」から

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よくある質問

Q. 週末だけの副業キッチンカーは成立しますか?

A. イベント中心の週末営業は「当たれば日商10万・外れれば出店料と食材が赤字」のハイボラティリティ型です。車両の固定費(リース・保険・駐車場)は営業しない日も出ていくため、副業の場合は稼働日数の少なさがそのまま損益分岐点の高さになります。

Q. 中古車両なら安く始められますか?

A. 車両価格は下がりますが、2021年改正後の設備基準(タンク容量・シンク等)を満たさない古い車両だと許可が取れない・取り直しになるリスクがあります。保健所の運用は地域差があるので、購入前に出店予定地域の保健所へ確認するのが必須です。

Q. 廃業率30%はどこの数字ですか?

A. 車両販売・開業支援の業界各社が公表している推計値です(1年以内約30%・3年で62%前後)。政府統計でキッチンカー単独の廃業率は取られていませんが、複数の支援業者が同水準の数字を出しており、固定店舗を含む飲食業全体の廃業率より明確に高い水準です。

というわけで——「低リスク」ではなく「低参入障壁」

まとめます。

  • 1年以内に約30%、3年で6割超が廃業(業界調査)。入りやすさと生き残りやすさは別物
  • 手取りは月20〜30万円に集中。月商100万は「固定の場所を持つ上級者」の数字
  • 出店料は15〜40%、実働12時間超、夏の車内50℃——労働集約型ビジネスそのもの
  • 製作会社の倒産で前払い金が宙に浮く事件も現実に起きた。場所が先・車は後・契約書は複数比較
  • 結論:「低リスクで月商100万」は嘘。「場所を確保した人だけが手取り20〜30万の商売を作れる」が正解——これだけ覚えて帰ってください

このシリーズでは「儲かるらしい」系のウワサを数字で検証しています。「コンビニオーナー」の検証、「冷凍餃子の無人販売」の検証、「コインランドリーで月30万」の検証もあわせてどうぞ。


この記事の主な参照データ:車両販売・開業支援各社の廃業率推計と価格相場(2024〜2026年)/中小企業診断協会 キッチンカー開業支援資料(令和4年度)/改正食品衛生法(2021年6月施行)の営業許可制度/倒産情報サイトの製作会社破産報道(2025年)

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