「ゴーストレストランは儲かる」は本当か——ウーバーイーツの謎の店名の正体と、1食1,000円で残るお金を計算【2026年版】

ウーバーイーツで見かける謎の店名の多くは、1つの台所で複数の看板を掛け持ちするゴーストレストラン。手数料35%・材料費約35%を引くと1,000円の注文で残るのは約300円。2026年7月からはUber Eatsが個人・中小のバーチャル店の新規受付を終了しました。数字で検証します。

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ウーバーイーツや出前館を開くと、「〇〇専門店」「〇〇研究所」のような、街では見かけない店名がずらりと並んでいます。その多くは、客席を持たず配達だけで売る「ゴーストレストラン」です。ある報道では、ひとつの場所から14ブランドが出店していた例が紹介されました(女性セブン 2020年)。

「お店を借りなくていいから儲かる」「副業でも始められる」と言われるゴーストレストランは、本当に儲かるのか。Uber Eatsの公式の手数料、日本政策金融公庫の経営指標、国の最低賃金を使って、1食売れるたびに手元にいくら残るのかを計算しました。

先に結論:ウワサと現実の対照表

ウワサ検証結果
「謎の店名は別々のお店」1つの台所で看板を掛け持ちする例が多い。1か所で14ブランドの報道例、「10以上も珍しくない」
「出前は伸びている」2025年の出前市場は8,240億円の見込み。コロナ前のほぼ2倍(サカーナ・ジャパン)
「お店がないから儲かる」配達込みの手数料35%+材料費約35%で、1,000円の注文で残るのは約300円(容器代・家賃・人件費の前)
「ひとりでやれば自分の給料になる」新しい最低賃金(全国平均1,177円)に届くには、家賃ゼロでも1時間に約4食の注文が必要
「副業で今から始められる」Uber Eatsは2026年7月1日から個人・中小のバーチャル店の新規受付を終了(来店できるお店は原則対象外)

そもそも:ゴーストレストランとは

客席を持たず、電話やアプリの注文に応じて配達だけで料理を売るお店です。「バーチャルレストラン」「クラウドキッチン」「ダークキッチン」とも呼ばれます。アメリカで先に広まり、日本では新型コロナで出前が伸びた2020年ごろに急増しました(日本経済新聞「急増する『ゴーストレストラン』は外食店を救うか」2020年)。

Uber Eatsの公式ブログ(2023年3月)は、バーチャルレストランを「店舗がありながら別のブランドも扱うこと、オンライン上だけのブランド」と説明し、新しいブランドは早いと1週間、ふつうは10日〜2週間ほどで出せると紹介していました。

出前そのものの市場も大きく育っています。

  • 2025年の出前市場:8,240億円の見込み(前年比+2.0%、コロナ前比+97.0%)。1日あたりにならすと約23億円です(サカーナ・ジャパン 2025年12月17日)
  • Uber Eatsの加盟店:2024年末で12万店以上(Uber Eats Japan代表の説明、2025年3月11日)

検証①:謎の店名の正体——台所ひとつで看板を掛け持ち

女性セブン(マネーポストWEB 2020年10月)は、ひとつの場所から「からあげ専門店」「丼専門店」「カレー専門店」「ハンバーグ専門店」「握り寿司専門店」「マグロ丼専門店」「韓国屋台」「野菜研究所」など14ブランドが出店していた例を紹介し、1つの場所で10以上のゴーストレストランを展開する例も少なくないと報じています。

名前を分ける理由は、アプリで「からあげ」「カレー」と料理名で探す人に、それぞれの専門店として見つけてもらうためです。看板を増やしても、台所・料理人・食材は1つのまま使い回せます。

ただし、やりすぎは問題にもなりました。アメリカのUber Eatsは2023年、同じメニューを別々の店名で並べていたバーチャルブランド約5,000店を削除しています。同じブリトーを12の店名で売っていた例もあったと報じられました(The Wall Street Journal報道、TechnoEdge 2023年3月28日)。

検証②:ウーバーイーツの取り分

Uber Eatsの加盟店向け公式ページが示す手数料は次のとおりです。

注文の種類手数料
配達をUber Eatsの配達パートナーに任せる35%
自分のお店で配達する15%
お客さんが取りに来る(テイクアウト)12%

1,000円の注文なら、配達まで任せた場合は350円がUber Eatsの取り分です。そのかわり、集客・注文の受付・支払い・配達までをアプリ側が担います。自分で配達すれば手数料は15%に下がりますが、そのぶん自分の時間を使います。

検証③:1,000円のお弁当が1つ売れると、いくら残るか

材料費は、日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」(2025年度)の一般飲食店(融資先の法人464社)の数字を使いました。売上高総利益率の中央値が65.1%なので、材料費(売上原価)は売上の**約35%**です。

[1,000円のお弁当が1つ売れた場合(配達をUber Eatsに任せる)]
売れた値段                         1,000円
Uber Eatsの手数料(35%)             -350円
材料費(売上の約35%)                 -350円
残り                                 300円
(ここから容器代・家賃・水道光熱費・人件費を払う)

同じ調査の一般飲食店の人件費は、売上の約33%(中央値33.2%・役員報酬を含む)です。ふつうの飲食店の割合をそのまま当てはめると、35%+35%+33%=103%で、1食売るたびに約30円の赤字になります。

ゴーストレストランが看板を掛け持ちするのは、この赤字をよけるための工夫だと読めます。客席もホール係も要らず、1人の料理人が複数ブランドの注文をまとめて作れば、売上に対する人件費の割合を小さくできます。

一方で、アプリの値段を店より高くして手数料をまかなう方法は、使いにくくなっています。サカーナ・ジャパンは、2025年に「店頭価格と同一価格での提供や、配送料の無料化といった施策が増加し、競争が激化」したと分析しています。

「FC本部のモデル収支」は、この計算に当てはめて比べる

ゴーストレストランにはフランチャイズ(FC)で始める道もあります。加盟金・ロイヤリティ・食材の仕入れ条件は本部ごとに違い、モデル収支の前提(1日の注文数・手数料の扱い)も本部ごとに異なります。資料請求は無料なので、説明を聞く前に複数の資料を並べ、「手数料35%+材料費+ロイヤリティを引いて1食いくら残るか」をこの記事の計算に当てはめてみると、営業トークに流されにくくなります。

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検証④:ひとりでやったら、時給はいくらか

家賃・容器代をゼロとして、1食で残る約300円を自分の時給として考えます。2026年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で1,177円です(厚生労働省・全都道府県の答申額、10月以降順次発効)。

[時給で考えると(家賃・容器代ゼロの場合)]
1食で残るお金                        約300円
新しい最低賃金(全国加重平均)       1,177円
1,177円 ÷ 300円                     = 約3.9 → 1時間に約4食

1時間に4食を作ること自体は難しくありませんが、問題は4食ぶんの注文が毎時間来るかです。注文が来ない時間も台所で待つ必要があり、その時間の収入はゼロです。実際には、ここから容器代や家賃も払います。

副業で始める前に知っておく話

  • 家の台所では売れない:ゴーストレストランも飲食店なので、保健所の飲食店営業許可と食品衛生責任者が必要です。家族が使う台所をそのまま使うのは基本的にできず、住居と区画された、施設基準を満たす台所が要ります
  • Uber Eatsは個人・中小のバーチャル店の新規受付を終了:Uber Eats Japanは2026年4月、中小規模・個人営業のバーチャルレストランの新規出店の受付を2026年7月1日で終了すると発表しました。理由は「Uberのグローバルな事業方針、および実店舗を運営されているレストランパートナー様のニーズをより的確に支援するという目的」と説明されています(Advertimes 2026年4月28日)。既存のお店は続けられます
  • バーチャル店は評価が低めだった:報道によると、Uber側はバーチャルレストランが実店舗と比べて「キャンセル・不受理注文率」が58%、「商品の入れ忘れ・入れ間違いの発生率」が64%高く、「評価」は6%、「リピート率」は31%低かったと説明しています(Yahoo!ニュース エキスパート 山口健太氏 2026年5月6日)
  • 小さな飲食店は、利益がほぼゼロ:一般飲食店の売上高営業利益率は平均−2.2%、中央値−0.4%です(日本政策金融公庫 2025年度)。手数料35%がかかる前の数字です

それでも「向いている人」

  • すでにお店を持っている料理人:家賃も料理人の人件費もすでに払っているなら、空き時間に売れたぶんは、ほぼ上乗せになります。たとえば空き時間に毎日3食売れれば、300円×3食×26日で月約2.3万円(容器代は別)です
  • 来店できるお店は新ルールの原則対象外:報道によると「来店可能な店舗があり、テイクアウトを提供する加盟店は原則的に対象外」とされています
  • 取りに来てもらえば手数料は12%:テイクアウト注文なら、1,000円で残るお金は約300円から約530円に増えます(材料費35%で計算)

1食いくら残ったかは、帳簿をつけないと見えない

デリバリーは手数料・材料費・容器代が注文ごとに引かれ、どのメニューが黒字なのかが見えにくい商売です。マネーフォワード クラウド確定申告なら、口座やカードと連携して記帳を自動化でき、個人事業の青色申告にもそのまま使えます。副業で年20万円を超える所得があれば会社員でも確定申告が必要です。

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判定:ずんだ検証ラボ「ウワサ格付け」はCランク

5つの物差し(各1〜5点・高いほど取り組む人に有利)で、「副業でゴーストレストランを始めて儲ける」を採点しました。

軸点数理由
再現性1Uber Eatsは2026年7月から個人・中小のバーチャル店の新規受付を終了
稼げる額21,000円の注文で残るのは約300円(容器代・家賃・人件費の前)
始めやすさ1営業許可の取れる台所の用意が必要。家の台所はそのまま使えない
リスク2家賃は注文ゼロの日もかかる。ふつうの人件費率なら1食30円の赤字
手間1注文を待つあいだ台所から離れられない

合計7点でCランク。「看板はいくらでも増やせるが、台所と料理人は1つ」というのが数字の答えです。ゼロから副業で始めるのは厳しく、すでにお店を持つ料理人が空き時間を活かす使い方なら道があります。

これからどうなる

出前の市場は2025年に前年比+2.0%と持ち直しました(サカーナ・ジャパン)。一方でUber Eatsは、実店舗を持つお店を支援する方針を打ち出し、個人・中小のバーチャル店の新規受付を終えました。アプリで見かける謎の店名は、これから少しずつ減っていく可能性があります。店名よりも、お店の中身で選ばれる流れが強まりそうです。

よくある質問

Q. 「1,000円で残るのは約300円」はどう計算した?

A. Uber Eats公式の手数料(配達パートナーが配達する注文35%)と、日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」2025年度の一般飲食店の売上高総利益率(中央値65.1%=材料費約35%)で計算しました。容器代・家賃・水道光熱費・人件費は含んでいません。実際の手数料・原価率はお店ごとに異なります。

Q. 「1食30円の赤字」は実在のお店の数字?

A. いいえ。ふつうの飲食店の割合(材料費約35%・人件費約33%)に手数料35%を足した場合の目安です。特定のお店の収支ではありません。

Q. 「1時間に約4食」はどう出した?

A. 2026年度の地域別最低賃金の全国加重平均1,177円(厚生労働省)を、1食で残る約300円で割った値です(約3.9食)。家賃・容器代をゼロとした場合です。

Q. もうUber Eatsでゴーストレストランは始められない?

A. 2026年7月1日から、中小規模・個人営業のバーチャルレストランの新規出店の受付は終了しました。既存のお店、大手のパートナー、来店できる店舗がありテイクアウトを提供するお店は原則として対象外と報じられています。ほかのアプリの条件は各社に確認してください。

というわけで——謎の店名の裏には、ひとつの台所がある

ゴーストレストランは、「台所ひとつで看板を掛け持ちする」ことで、手数料35%の重さをしのぐ売り方です。出前の市場は伸びていますが、1,000円の注文で残るのは約300円。ゼロから副業で始める道は、Uber Eatsでは2026年7月に閉じました。すでにお店を持つ人の「空き時間の上乗せ」として見るのが現実的です。

配達する側の数字は「ウーバーイーツは時給2,000円」の検証、街の食べ物の商売は「おにぎり専門店は儲かる」の検証・「キッチンカーは低リスクで月商100万」の検証でも比べられます。


この記事の主な参照データ:Uber Eats 加盟店向け「料金」ページ(配達パートナー35%・自社配達15%・テイクアウト12%、https://merchants.ubereats.com/jp/ja/pricing/)/Uber Japan 公式ブログ「バーチャルレストランを始めよう」(2023年3月30日)/サカーナ・ジャパン「2025年のデリバリー市場規模は8240億円の見込み」(2025年12月17日)/ダイヤモンド・チェーンストアオンライン「Uber Eats Japan代表が語る『2025年 3つの成長戦略』」(2025年3月・加盟店12万店以上)/日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」2025年度(飲食店,宿泊業・一般飲食店)/厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」(令和8年度・全国加重平均1,177円)/マネーポストWEB(女性セブン)「フードデリバリーの闇 保健所も把握できない『ゴーストレストラン』の実態」(2020年10月19日)/TechnoEdge「ウーバーイーツが『幽霊レストラン』数千軒を削除」(2023年3月28日・The Wall Street Journal報道)/日本経済新聞「急増する『ゴーストレストラン』は外食店を救うか」(2020年)/Advertimes「Uber Eatsのバーチャルキッチン 個人・中小の新規受付『終了』へ」(2026年4月28日)/Yahoo!ニュース エキスパート 山口健太「Uber Eatsが中小『バーチャルレストラン』の新規出店終了へ その背景とは」(2026年5月6日)

※Uber Eats は Uber Technologies, Inc. の商標です。本記事は特定の店舗・企業の収支を推計したものではありません。

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