「仮想通貨の自動売買botでほったらかし」は本当か——利用料は月2,980円+売買代金0.03%、元手10万円なら月7.8%稼いでやっと損益ゼロ【2026年版】
仮想通貨(暗号資産)の自動売買botで『ほったらかし』は成立するかを公式の料金表で検証。bot利用料(月2,980円+売買代金0.03%)と取引所の手数料(往復0.1%)を足すと、元手10万円で毎日1往復する設定では月7,780円、元手の7.8%を稼いでやっと損益ゼロ。勝率90%広告の算数、国民生活センターの相談8,132件まで確認しました。
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国内の暗号資産自動売買サービスの1つ、QUOREAの料金は、公式サポートページに**「月内に少なくとも1体自動売買をONにした場合に、基本料金として月額で2,980円」「月内に1回以上取引が発生した場合に、月間売買代金の0.03%」**と書いてあります(2023年1月1日改定の料金・2026年9月16日確認)。
「AIが勝手に売り買いしてくれるから、寝ている間にお金が増える」。SNSの広告はそう言います。ただし広告に書いてある「勝率90%」は利益率ではなく、料金表に書いてある数字は毎月確実に引かれます。そこで、bot利用料と取引所の手数料を公式の料金表どおりに足し合わせ、「ほったらかし」にするといくら稼いで初めて損益ゼロになるのかを計算しました(2026年9月16日時点)。
先に結論:ウワサと現実の対照表
| ウワサ | 検証結果 |
|---|---|
| 「botを動かすだけで増える」 | 元手10万円を毎日1往復させると、bot利用料+取引所手数料で月7,780円。元手の**7.8%**を毎月稼いでやっと損益ゼロ |
| 「勝率90%の最強ロジック」 | 勝率は利益率ではない。勝ち+1%が9回・負け−15%が1回なら、勝率90%でも10回で**−6%** |
| 「海外取引所のグリッドbotは手数料が安い」 | 大手海外取引所の現物グリッドbotは売り注文から**0.1%**が引かれる。往復0.2%より狭いグリッド幅では利益が出ない |
| 「知り合いに勧められたソフトなら安心」 | 国民生活センターは2024年1月に「勧められるまま自動売買ソフトを購入したが儲からない」相談を公表。暗号資産の相談は2025年度8,132件 |
| 「自動売買=全部ダメ」 | 取引所公式のAPIや自動積立は利用料0円。GMOコインの取引所はMaker注文なら手数料**−0.01%**(受け取り)。「何を自動にするか」で費用が桁違い |
そもそも:自動売買botとは何をしているのか
自動売買botは、あらかじめ決めたルール(「この値段まで下がったら買う」「上がったら売る」)に従って、人の代わりに取引所へ注文を出し続けるプログラムです。中身は大きく3種類あります。
- 販売型のbot——業者がロジックを作り、利用者は月額料金や利用料を払って動かす。国内の例では、QUOREAが月額2,980円+月間売買代金の0.03%(自動売買をONにした月だけ課金・ONにせず取引もない月は0円)と公表しています
- 取引所公式のbot機能——海外の大手取引所には「グリッドボット」のように設定するだけで動く機能があり、利用料は無料ですが、約定のたびに通常の取引手数料がかかります
- 自作bot——取引所のAPI(GMOコインは取引所の現物APIが無料)を使って自分でプログラムを組む。利用料はゼロ、代わりに全部自己責任
「ほったらかし」の広告がさすのは、ほとんどが1か2です。この記事では、どのbotを選んでも必ず引かれる**「利用料」と「取引所の手数料」**を先に足し算します。利益が出るかどうかは相場次第で誰にも約束できませんが、費用は料金表に書いてある確定した数字だからです。
検証①:「ほったらかし」の値段——元手10万円で月7,780円
計算の前提は次の3つです。数字はすべて公式の料金表から取りました。
- bot利用料: QUOREAの公式料金=月額2,980円+月間売買代金の0.03%(2026年9月16日確認)
- 取引所の手数料: GMOコインの取引所(現物)=Maker −0.01%/Taker 0.05%(BTC・ETH・XRP・DAI、2026年9月16日確認)。botは値段が動いた瞬間に約定を取りに行くことが多いので、ここでは全部Taker(0.05%)で計算
- 動かし方: 元手10万円を、1日1回買って1回売る(月30往復)
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 月間売買代金 | 10万円 × 2(買い+売り)× 30日 | 600万円 |
| bot基本料 | 月額 | 2,980円 |
| bot売買代金手数料 | 600万円 × 0.03% | 1,800円 |
| 取引所手数料(Taker) | 600万円 × 0.05% | 3,000円 |
| 毎月の費用合計 | 7,780円 | |
| 損益ゼロに必要な利益率 | 7,780円 ÷ 10万円 | 月7.8% |
月7.8%を12か月続けると年93%です。「ビットコインで億り人」の検証で確認したとおり、ビットコインは2017年元日から今日までで約100倍になった一方、途中で83.3%下落した資産です。長期の平均をならしても、毎月7.8%を手数料のために稼ぎ続ける設定は、相場が味方した月にしか成立しません。
元手を増やすと利用料の比率は下がりますが、ゼロにはなりません。
| 元手 | 動かし方 | 月の費用 | 損益ゼロに必要な利益率 |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 毎日1往復 | 7,780円 | 月7.8% |
| 10万円 | 週1往復(月4回) | 3,620円 | 月3.6% |
| 100万円 | 毎日1往復 | 50,980円 | 月5.1% |
| 100万円 | 週1往復(月4回) | 9,380円 | 月0.9% |
「FX自動売買でほったらかし月10万」の検証では、現実的な月利を1%と置くと月10万円に必要な元本は1,000万円でした。暗号資産のbotでも構図は同じで、「ほったらかし」で残る金額は、元手の大きさと取引回数の少なさで決まります。取引回数を増やすほど手数料が増える一方で、bot広告は「1日◯回の取引チャンス」を売り文句にします。売り文句と費用の向きが逆になっている点は、料金表を読むと見えてきます。
検証②:「勝率90%」の算数——勝率は利益率ではない
bot広告の定番は「勝率90%」です。勝率は「取引のうち利益が出た回数の割合」であって、いくら儲かったかではありません。
| 取引 | 結果 | 損益 |
|---|---|---|
| 1〜9回目 | 小さく勝つ | +1% × 9回 = +9% |
| 10回目 | 大きく負ける | −15% × 1回 = −15% |
| 合計 | 勝率90% | −6% |
小さな利益を何度も確定し、大きな含み損を1回抱える。これは「コツコツドカン」と呼ばれる典型で、勝率を高く見せたいbotほど、損切りを遅らせて勝率を稼ぐ設計になりやすいという構造上の理由があります。広告の勝率が過去データに合わせ込んだバックテストの数字である問題は、FX自動売買の検証記事の「カーブフィッティング」の項で扱っています。
勝率ではなく、「平均の勝ち幅 × 勝率」と「平均の負け幅 × 負け率」の差(期待値)を公表しているbotかどうかが、見るべき一点です。
検証③:海外取引所のグリッドbot——利益はグリッド幅から0.2%を引いた残り
海外の大手取引所には、設定するだけで動く「現物グリッドボット」があります。公式ヘルプセンターの損益計算ページには、**「売り注文の数量は0.1%の現物取引手数料が差し引かれる」と明記されています(Bybitヘルプセンター「損益計算(現物取引ボット)」・VIPでない利用者の手数料率・2026年9月16日確認)。買いと売りの両方に0.1%がかかるので、1往復で0.2%**です。
| グリッド幅(買値と売値の差) | 1往復の手数料 | 1往復の利益 |
|---|---|---|
| 0.2% | 0.2% | 0% |
| 0.5% | 0.2% | 0.3% |
| 1.0% | 0.2% | 0.8% |
グリッドbotは「値段が上下に揺れる限り小さく稼ぎ続ける」仕組みですが、値段が下がり続けると買い注文だけが約定して含み損が積み上がり、上がり続けると売り切って何も持っていない状態になります。利益が出るのは「決めた範囲の中で揺れている間」だけで、その範囲を決めるのは人間です。ここが「ほったらかし」にできない部分です。
もう1つ、海外取引所を使うなら確認したいのが登録の有無です。金融庁は「暗号資産で運用すると必ず儲かるとうたう高利回りな投資話に勧誘され、当初は配当や払戻しができたが、しばらくすると突然サービスが停止し、払戻しができなくなった」という事例を注意喚起に載せ、取引の前に金融庁の登録業者検索で登録を確認するよう求めています。
検証④:「知り合いに勧められたソフト」——相談は年8,132件
国民生活センターの「暗号資産(仮想通貨)」の相談件数は、2023年度8,498件・2024年度7,261件・2025年度8,132件(2026年5月31日現在の集計)です。2025年度をならすと、1日あたり約22件の相談が寄せられている計算です。同センターが2024年1月23日に公表した注意喚起には、「知人の副業グループの勧めで暗号資産取引を始め、勧められるままに自動売買ソフトを購入したが、実際には儲からず返金を希望している」(20代男性)という相談がそのまま載っています。
警察庁が公表した令和7年のSNS型投資詐欺は認知件数9,538件・被害額1,274.7億円でした。1件あたりにならすと約1,336万円です。「AIが自動で運用する」「必ず儲かる」は、この入り口で使われる決まり文句です。
見分け方は単純で、料金表が公開されているかです。この記事で使ったQUOREAの料金も、GMOコインの手数料も、Bybitの手数料も、公式サイトに数字が書いてあります。「儲かる仕組みは秘密」「月額料金は紹介者から聞いて」というbotには、計算のしようがありません。
検証⑤:自動売買で費用がかからない使い方
「自動売買」そのものが悪いわけではありません。費用の差は「何を自動にするか」で決まります。
| 自動にする内容 | 利用料 | 取引の手数料 |
|---|---|---|
| botで1日に何度も売買(検証①) | 月2,980円+売買代金0.03% | Taker 0.05%(往復0.1%) |
| 取引所公式の自動積立(毎月同じ額を買う) | 0円 | 販売所のスプレッド(Coincheckの公表値は手数料相当額0.1〜5.0%) |
| 取引所の指値注文をMakerで置く | 0円 | GMOコイン取引所は**−0.01%**(受け取り) |
同じ「ほったらかし」でも、毎月同じ日に同じ額を買う積立は、売買回数が月1回なので手数料が桁違いに小さくなります。「ビットコインで億り人」の検証で確認した「億り人を作ったのは買った日ではなく売らなかった3年間」という結論とも整合します。botに払うつもりだった月2,980円を積立に回すほうが、費用の面では確実に前に進みます。
暗号資産の損益は、1年分まとめて計算しようとすると詰む
暗号資産の利益は雑所得で、給与所得者なら給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要です。botが1日に何度も売買していると、年末に取得価額を後から計算し直すのはかなりの手間です。マネーフォワード クラウド確定申告なら、口座・カード連携で入出金を自動で取り込めるので、「いくら入れて、いくら残ったのか」を日々の記録から追えます。
マネーフォワード クラウド確定申告を無料で試す →判定:「ほったらかし」の値段は毎月確定、利益は毎月未確定
「仮想通貨の自動売買botでほったらかし」は、費用の面では成立しません。元手10万円を毎日1往復させると月7,780円が確定で引かれ、それを上回る利益(月7.8%)を相場が毎月くれる保証はどこにもありません。勝率90%の広告は利益率ではなく、損益比が1:15なら10回で−6%になります。
一方で、取引所公式の積立やMaker注文なら利用料はゼロ、手数料はほぼゼロかマイナスです。「自動」にするなら、売買の回数を減らす方向に自動にするのが、料金表から読める唯一の答えです。
これから:改正金融商品取引法が成立
2026年7月15日、改正金融商品取引法が参院本会議で可決・成立しました(時事通信 2026年7月15日)。これまで資金決済法で規制されてきた暗号資産を、新たに金融商品取引法の規制対象とし、公表前の情報で売買するインサイダー取引の規定も整備されます。無登録業者への罰則は、拘禁刑が「3年以下」から「10年以下」に、罰金が「300万円以下」から「1,000万円以下」に引き上げられます。
罰則が重くなることで、無登録で「必ず儲かる」をうたう業者は減っていく可能性があります。ただし、法律が変わってもbotの利用料と取引所の手数料が毎月引かれる点は変わりません。料金表を先に読む、という見分け方はこれからも有効です。
よくある質問
Q. 月7.8%は本当に必要?もっと安いbotもあるのでは?
A. 表の数字はQUOREAの公式料金(月2,980円+売買代金0.03%)とGMOコインのTaker手数料(0.05%)で、毎日1往復という前提の試算です。取引回数を月4回に減らすと必要利益率は月3.6%に下がります。逆に「1日10回売買」をうたうbotなら、売買代金が10倍になるので必要利益率も跳ね上がります。ご自身のbotの料金表と取引回数を当てはめて計算してください。
Q. Maker注文なら手数料がマイナスになるのだから、botでも得では?
A. GMOコインの取引所はMaker −0.01%なので、botの注文が全部Makerで約定すれば取引所の手数料は受け取りになります。ただしbot利用料(月2,980円+0.03%)は変わらないので、元手10万円・毎日1往復なら月4,180円、必要利益率は月4.2%です。
Q. 海外取引所のグリッドbotは違法?
A. この記事は手数料の数字だけを扱っており、各業者の登録状況の判断はしていません。金融庁は取引前に登録業者検索で確認するよう求めており、無登録業者とのトラブルは補償を受けられない場合があると注意喚起しています。
Q. 自分でbotを作るなら費用はゼロ?
A. GMOコインは取引所の現物APIを無料で公開しています。利用料はゼロですが、取引の手数料(Taker 0.05%/Maker −0.01%)はかかり、ロジックの検証も損失もすべて自己責任です。
というわけで——「ほったらかし」の値段は料金表に書いてある
bot広告の勝率は未来の約束ではなく、料金表の月2,980円と0.03%と0.05%は毎月の確定です。確定した費用を毎月上回る利益を、相場が約束してくれることはありません。「ほったらかし」を本気でやるなら、売買の回数を減らす自動化——積立とMaker注文——のほうが、料金表の上では圧倒的に有利でした。
同じ構図は、「FX自動売買でほったらかし月10万」の検証、「ビットコインで億り人」の検証、「新NISAで億り人」の検証でも繰り返されています。
この記事の主な参照データ:QUOREA公式サポート「QUOREAご利用料金について」(月額2,980円+月間売買代金0.03%・2023年1月1日改定・2026年9月16日確認・https://www.quoreasupport.jp/questions/fee-3)/GMOコイン公式「手数料」(取引所 現物 Maker −0.01%/Taker 0.05%・API無料・2026年9月16日確認・https://coin.z.com/jp/corp/guide/fees/)/Coincheck公式「手数料」(販売所の手数料相当額0.1〜5.0%・2026年9月16日確認・https://coincheck.com/ja/info/fee)/Bybitヘルプセンター「損益計算(現物取引ボット)」(売り注文から0.1%の現物取引手数料・2026年9月16日確認)/国民生活センター「暗号資産(仮想通貨)」相談件数(2023〜2025年度・2026年5月31日現在・https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/crypto.html)/国民生活センター注意喚起(2024年1月23日公表・INTERNET Watch報道)/金融庁「詐欺的な投資勧誘等にご注意ください!」(https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/attention.html)/警察庁 令和7年SNS型投資詐欺の認知件数・被害額/時事通信「改正金商法が成立 仮想通貨を規制対象に」(2026年7月15日・https://www.jiji.com/jc/article?k=2026071500167&g=pol)