「ビットコインで億り人」は本当か——2017年元日の100万円は今日約1億円、ただし途中で83.3%下落・利益1億円の手残りは4,895万円【2026年版】
ビットコインで億り人は本当かを12年分の日足終値で検証。2017年元日の100万円は今日約1億円になる一方、途中で83.3%下落し戻るまで1,096日。国税庁発表の331人、利益1億円の手残り4,895万円、取引所流出と詐欺の数字まで確認しました。
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2025年10月8日、ビットコインは円建ての終値で1,884万円の最高値をつけました。そこから9か月後の2026年6月30日には952万円。最高値から**49.4%**下がり、日経新聞は「1年8カ月ぶりに6万ドルを割った、最高値から半値以下」と報じています。
それでもSNSでは「ビットコインで億り人」の話が消えません。では、ビットコインで1億円を手にした人は本当にいるのか。いたとして、その人は途中で何を経験したのか。円建ての日足終値4,377日分(2014年9月〜2026年9月11日)を使って、自分で計算しました。
先に結論:ウワサと現実の対照表
| ウワサ | 検証結果 |
|---|---|
| 「ビットコインで億り人になった人がいる」 | 本当。国税庁の発表で、仮想通貨の取引があり収入1億円以上だった人は331人(平成29年分) |
| 「100万円が1億円になった」 | 本当。2017年元日に100万円買って今日まで持ち続けると約1億円(約101倍) |
| 「持っていれば上がる」 | 途中で83.3%下落し、元の値段に戻るまで1,096日。2021年の高値からも71.6%下落・828日 |
| 「1億円儲かれば1億円が手に入る」 | 今の税制では給与と合算の総合課税で最高55%。利益1億円の手残りは約4,895万円 |
| 「取引所に置いておけば安全」 | コインチェック580億円(2018年)、DMMビットコイン482億円(2024年)が流出 |
そもそも:「億り人」とビットコインの12年
億り人は、投資で1億円以上を手にした人を指すネットの言葉です。広まったのは2017年。ビットコインは2017年1月1日の終値116,554円から、同年12月16日には2,194,822円まで上がりました。1年で約19倍です。
ビットコインは「サトシ・ナカモト」と名乗る人物が考案した暗号資産で、その正体はいまも分かっていません。初期にはほとんど値段が付いておらず、2010年には1万ビットコインでピザ2枚が買われた記録が残っています。今日(2026年9月11日)の終値11,848,334円で計算すると、そのピザ2枚は約1,185億円です。
| 日付 | 円建て終値 | 出来事 |
|---|---|---|
| 2017年12月16日 | 2,194,822円 | 2017年の高値。「億り人」が流行 |
| 2018年12月15日 | 367,165円 | 高値から83.3%下落 |
| 2021年11月8日 | 7,652,282円 | 2021年の高値 |
| 2022年12月31日 | 2,169,626円 | 高値から71.6%下落 |
| 2025年10月8日 | 18,838,562円 | 過去最高値 |
| 2026年6月30日 | 9,523,716円 | 最高値から49.4%下落 |
| 2026年9月11日 | 11,848,334円 | 最高値からまだ37.1%下 |
※円建て日足終値はYahoo!ファイナンスの公開データ(BTC-JPY)を取得して集計しました。取引所ごとに価格は多少異なります。
検証①:億り人は何人いたのか——国税庁の331人
国税庁が2018年5月に公表した平成29年分の確定申告状況によると、仮想通貨の取引があり、収入が1億円以上だった人は331人でした。NHKなど各社が「仮想通貨で収入1億円以上は331人」と報じています。
ここで分かるのは2つです。
- 億り人は実在する。しかも数えられているのは、きちんと申告した人だけです
- 数字は「収入」1億円以上であって、「手元に1億円が残った人」の数ではありません(後述の税金で大きく目減りします)
検証②:100万円は本当に1億円になるのか——4,377日分で計算した
円建ての日足終値4,377日分で、実際に計算しました。
| 買った日 | 買値(終値) | 今日の価値(100万円あたり) |
|---|---|---|
| 2017年1月1日 | 116,554円 | 約1億165万円(約101倍) |
| 2020年1月1日 | 782,688円 | 約1,514万円(約15倍) |
| 2023年1月1日 | 2,176,655円 | 約544万円(約5.4倍) |
| 2025年1月1日 | 14,890,935円 | 約80万円(元本割れ) |
2017年の元日に100万円買って、今日まで一度も売らなければ約1億円。「100万円が1億円」は、計算上は本当に起きています。
問題はその途中です。
| 高値 | その後の底 | 下落率 | 元の値段に戻るまで |
|---|---|---|---|
| 2017年12月16日 2,194,822円 | 2018年12月15日 367,165円 | −83.3% | 1,096日(2020年12月16日) |
| 2021年11月8日 7,652,282円 | 2022年12月31日 2,169,626円 | −71.6% | 828日(2024年2月14日) |
| 2025年10月8日 18,838,562円 | 2026年6月30日 9,523,716円 | −49.4% | まだ戻っていない |
2017年に100倍コースに乗った人は、翌年に資産の8割以上が消え、それが3年間戻らない画面を見続けた人です。億り人の条件は「買ったこと」ではなく、**「売らなかったこと」**でした。
もうひとつ、「買ってちょうど1年持った場合に勝てたか」を全期間の毎日で調べました。
- 1年保有で値上がりしていた日:4,012日中2,936日(73.2%)
- 裏返すと、約4回に1回は1年後に負けています。2025年の元日に買った人は、今日時点でマイナスです
検証③:預け先が消える——取引所からの流出
「売らずに取引所に置いておけばいい」という考え方には、別のリスクがあります。
| 時期 | 取引所 | 流出額 | その後 |
|---|---|---|---|
| 2018年1月 | コインチェック | 約580億円(NEM) | 約26万人に影響。補償を実施 |
| 2024年5月 | DMMビットコイン | 約482億円(4,502.9BTC) | 同年12月に廃業を発表し、口座は別の交換業者へ移管 |
どちらも最終的に顧客への補償は行われましたが、それは会社側に払える体力があったからです。自分の資産を第三者に預ける以上、このリスクはゼロになりません。
検証④:億り人を名乗る人たち——SNS型投資詐欺1,274.7億円
警察庁によると、**令和7年のSNS型投資詐欺は認知件数9,538件(前年比+48.7%)、被害額1,274.7億円(同+46.3%)**でした。
「億り人が儲け方を教えます」という勧誘は、この構図の入り口として定番です。本物の億り人に、見知らぬ人へ儲け方を無料で教える理由はありません。
暗号資産の損益は、1年分まとめて計算しようとすると詰む
暗号資産の利益は雑所得で、給与所得者なら給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要です。取引所をまたいで売買していると、年末に取得価額を後から計算し直すのはかなりの手間です。マネーフォワード クラウド確定申告なら、口座・カード連携で入出金を自動で取り込めるので、「いくら入れて、いくら残ったのか」を日々の記録から追えます。
マネーフォワード クラウド確定申告を無料で試す →検証⑤:収支分解——利益1億円の手残りはいくらか
2027年分までの今の税制では、暗号資産の利益は雑所得・総合課税です。給与などと合算され、税率は所得税45%+住民税10%で**最高55%**になります。
利益がちょうど1億円(ほかの所得・控除なし)の場合を計算しました。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売却益 | +1億円 |
| 所得税(45%−控除額479.6万円)+復興特別所得税2.1% | −約4,105万円 |
| 住民税(10%) | −1,000万円 |
| 手残り | 約4,895万円 |
億り人になっても、手元に残るのは5,000万円未満です。さらに今の制度では、
- 負けた年の損失は翌年に繰り越せない
- 給与などほかの所得との損益通算もできない
つまり勝った年は最大55%を納め、負けた年の損は自分だけで抱える非対称な仕組みです。
なお、2026年3月に改正所得税法が成立し、「特定暗号資産」の取引による所得は税率20%(所得税15%・住民税5%)の申告分離課税になる予定です。適用は金融商品取引法の改正を前提に2028年からの見込みで、損失の3年間繰越控除も認められる方向です。ただし2026年分・2027年分は従来どおりです。20%でも利益1億円なら税額は約2,000万円(復興特別所得税を含めると約2,032万円)になります。
判定:「ビットコインで億り人」は本当。ただし手元に残るのは半分
数字で見えたことを整理します。
- 国税庁の発表で、仮想通貨で収入1億円以上は331人(平成29年分)。億り人は実在する
- 2017年元日の100万円は今日約1億円。ただしその途中で83.3%下落し、戻るまで1,096日
- 1年保有の勝率は73.2%。約4回に1回は1年後に負けている
- 取引所からの流出は580億円・482億円。預け先が消えるリスクがある
- 利益1億円でも、今の税制の手残りは約4,895万円
結論は、「ビットコインで億り人」は本当。ただし条件は「100倍を待てること」「83%の暴落で売らないこと」「利益の半分を納めること」の3つです。値動きに関係なく確実に受け取っているのは、売買のたびに手数料を得る取引所と、利益に課税する国の側です。
よくある質問
Q. 4,377日分の終値はどこから取った数字?
A. Yahoo!ファイナンスで公開されているビットコインの円建て価格(BTC-JPY)の日足終値を、2014年9月17日から2026年9月11日まで取得して集計しました。取引所ごとに価格は多少異なるため、同じ日でも数%の差は出ます。
Q. 今から買って億り人になれる?
A. 今日の価格(約1,185万円)から100倍になるには、1ビットコインが約11.8億円になる必要があります。2017年に起きたのと同じ倍率を、同じ期間で期待するのは計算上かなり厳しいです。
Q. 2028年まで売らずに待てば税金は20%になる?
A. 改正所得税法は成立していますが、適用は金融商品取引法の改正が前提で、2028年からは「見込み」です。対象は「特定暗号資産」に限られます。施行時期と対象は、売却前に国税庁・金融庁の最新情報で確認してください。
Q. 負けた年の損はどうなる?
A. 2027年分までの今の制度では、暗号資産の損失は翌年に繰り越せず、給与などとの損益通算もできません。
というわけで——億り人を作ったのは「買った日」ではなく「売らなかった3年間」
「100万円が1億円」は計算上本当に起きました。ただしそれは、資産の8割が消えた画面を3年間見続け、取引所の流出ニュースにも耐え、最後に利益の半分を納めた人だけが通れた道です。SNSで見かける「億り人」は、その3年間の話をあまりしません。
同じ「億り人」の算数を積立投資で検証した新NISAで億り人の検証(月10万×30年×年利7%)、宝くじの還元率の検証、副業収入の税金まとめもあわせてどうぞ。
この記事の主な参照データ:Yahoo!ファイナンス BTC-JPY 日足終値(2014年9月17日〜2026年9月11日・4,377日分をこちらで集計)/国税庁「平成29年分の所得税等の確定申告状況等」(2018年5月・NHK報道)/日本経済新聞「ビットコイン急落、1年8カ月ぶり6万ドル割れ 最高値から半値以下」(2026年6月)/警察庁「令和7年におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等」/コインチェック・DMMビットコインの流出に関する各社発表・報道/令和8年度税制改正(暗号資産の申告分離課税)に関する大和総研レポート・税理士法人解説/国税庁 暗号資産等に関する税務上の取扱いFAQ