金利上昇で儲かるのは誰?政策金利1.25%時代に、預金者は年3,187円・変動ローンは月12,517円増だった【2026年版】
日銀が2026年9月18日に政策金利を1.25%へ引き上げ。大手銀行の普通預金は0.001%→0.400%で400倍になった一方、変動金利の土台である短期プライムレートは2年で+0.90%。100万円の預金で残る利息と、3,000万円の住宅ローンで増える返済額を実測値から計算して、誰が儲かる側なのかを数字で並べました。
※当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています。記事内のリンクから商品を購入すると、当サイトに報酬が支払われることがあります。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物の誘導目標)を**「1.25%程度で推移するよう促す」**と決めました(賛成7・反対2、新方針は9月24日から適用。日本銀行「金融市場調節方針の変更について」2026年9月18日)。
「金利が上がれば儲かる」とよく言われます。ではその「儲かる」の主語は誰なのか。預金金利・住宅ローン・国債の実測値から、1つずつ金額に落として並べました(数字はすべて2026年9月21日時点で各一次資料を確認)。
先に結論:ウワサと現実の対照表
| ウワサ | 検証結果 |
|---|---|
| 「金利が上がって預金が増える」 | 本当。大手銀行の普通預金は0.001%→0.400%で400倍(三菱UFJ銀行の公表金利) |
| 「400倍なら大金だ」 | ならない。100万円を1年で利息4,000円、税引後3,187円(年0.400%で自前計算) |
| 「変動ローンはまだ上がってない」 | 上がっている。土台の短期プライムレートは1.475%→2.375%で+0.90%(日銀公表) |
| 「0.9%なんて小さい」 | 3,000万円・35年なら毎月12,517円増、年約15万円(元利均等で自前計算) |
| 「上がっても関係ない人が多い」 | 逆。住宅ローン利用者の75.0%が変動型(住宅金融支援機構) |
| 「みんな分かって借りている」 | **52.0%**が「返済額がどれだけ増えるか理解しているか少し不安・理解していない」(同調査) |
| 「儲かるのは預金者」 | 主語が違う。銀行は貸す方に**+0.90%、預金に+0.399%。差0.50%**が取り分 |
そもそも:金利とは「お金のレンタル料」
金利とは、お金を借りたときに払う使用料です。自転車を1日借りればお金を払うのと同じで、お金も借りれば使用料がかかります。借りた人が払い、貸した人がもらう。この立場の違いが、今回の話のすべてです。
見落としがちなのが、**銀行にお金を預けている人は「貸している側」**だという点です。だから利息をもらえます。銀行はそのお金を家や会社に貸し、受け取る金利と払う金利の差でもうけています。
政策金利とは何か
日本の金利の大もとを決めるのが日本銀行です。銀行がお金を貸し借りするときの基準になるので、「銀行の銀行」と呼ばれます。日銀が決める金利が政策金利で、これが日本のお金の基本料金にあたります。
| 時期 | 政策金利 |
|---|---|
| 2024年3月まで | ▲0.1%(マイナス金利) |
| 2026年9月18日決定 | 1.25%程度 |
2024年3月のマイナス金利解除から段階的に引き上げられ、2年半で1.25%に到達しました。いちばん新しい決定は今週(2026年9月18日)です。
なぜ今、上げているのか
日銀は9月18日の発表文で、**「基調的な物価上昇率は2%に近づいている」とし、「金融緩和の度合いを調整することが適切」**と判断したと書いています(出典は上記PDF)。
金利を上げるとお金を借りにくくなり、借りる人が減れば物も売れにくくなる。結果として値段の上がり方がおさまる、という仕組みです。熱いお風呂に水を足すイメージです。
そして同じ発表文には**「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている」**とも明記されています。ここは今後の動向として重要です。
検証①:儲かる側=預金者は、いくら得したか
大手銀行の円預金金利を、銀行自身が公開しているレートデータで確認しました。
| 商品 | 金利(年) |
|---|---|
| 普通預金 | 0.400% |
| スーパー定期 1年(300万円未満) | 0.500% |
| スーパー定期 10年(300万円未満) | 1.250% |
出典:三菱UFJ銀行 円預金金利(2026年9月21日に同行の公表レートを確認)
マイナス金利のころ、大手銀行の普通預金は年**0.001%**に長く張りついていました。0.001%→0.400%ですから、400倍です。見出しとしては強烈な数字です。
では、いくら残るのか
元手を100万円として、普通預金0.400%で1年置いた場合を計算しました。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 1年分の利息 | 4,000円 |
| 税金(20.315%) | ▲813円 |
| 手元に残る | 3,187円 |
※年0.400%・1年・税率20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)で筆者が計算
400倍になっても、100万円で年3,187円。ラーメン2杯ぶんです。元手が1,000万円なら税引後で約31,874円になりますが、これも「儲かる」と呼ぶには静かな金額です。
しかも、この計算に物の値段の上がり方は入っていません。日銀自身が「物価上昇率が2%に近づいた」と書いている環境で、0.4%の利息が実質的にどうなるかは別の話です。
預金者は確かに得する側です。ただし得する額は、元手の大きさで決まります。
検証②:損する側=変動金利の住宅ローン
住宅ローンの変動金利は、**短期プライムレート(短プラ)**という金利に連動して動きます。短プラは、銀行がいちばん信用できる相手に短期で貸すときの金利です。日銀がこれを集計・公表しています。
| 実施時期 | 短期プライムレート(主要行) |
|---|---|
| 2024年以前(長期間) | 1.475% |
| 2026年6月10日時点 | 2.125% |
| 2026年8月3日〜(9月10日時点も同じ) | 2.375% |
出典:日本銀行「短期プライムレート(主要行)の推移」(2026年9月21日に確認。最新の掲載は2026年9月10日時点)
2年で+0.90%です。実際の店頭表示金利にも出ていて、三菱UFJ銀行の住宅ローン変動金利(毎月型)の店頭表示金利は年3.375%(2026年9月適用分)です。これは短プラ2.375%+1.0%という関係になっています(三菱UFJ銀行 住宅ローン金利・2026年9月21日に同行の公表レートを確認)。
毎月の返済はいくら増えるか
借入3,000万円・返済35年・元利均等で、変動金利が0.5%から1.4%へ0.9%上がった場合を計算しました。
| 金利 | 毎月の返済額 |
|---|---|
| 0.5% | 77,876円 |
| 1.4% | 90,393円 |
| 差 | +12,517円 |
※筆者が元利均等返済の式で計算。0.5%という出発点は、優遇後の変動金利として置いた仮定値です
**毎月12,517円、1年でおよそ15万円。**家族旅行が1回まるごと消える金額です。しかもこれは1回だけの話ではなく、政策金利が上がるたびに積み上がっていきます。
参考に、直近の1回ぶん(+0.25%)だけを見ると、同じ3,000万円・35年で毎月+3,540円(1.00%→1.25%で84,686円→88,226円)です。1回は小さく見えて、回数で効くタイプの負担です。
そして、多くの人が変動で借りている
| 金利タイプ | 割合 |
|---|---|
| 変動型 | 75.0% |
| 固定期間選択型 | 14.9% |
| 全期間固定型 | 10.1% |
出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」(2026年2月公表・回答1,237件・2025年4月〜9月に住宅ローンで住宅を取得した人が対象)
同じ調査には、もうひとつ重い数字があります。金利リスク(将来、金利上昇した場合に返済額がどれくらい増えるか)について、「理解しているか少し不安・よく理解していない・全く理解していない」と答えた人の合計が52.0%。
そして「今後1年間の住宅ローン金利の見通し」では、「現状よりも上昇する」が73.7%(2025年4月調査より+8.0ポイント)。上がると思っている人は多いのに、いくら増えるかは半分の人が分かっていない、という状態です。
検証③:いちばん取り分が増えたのは誰か
ここが今回の核です。銀行が受け取る側に上げた幅と、払う側に上げた幅を引き算しました。
| 項目 | 上げ幅 |
|---|---|
| 銀行が貸す方に上げた分(短プラ 1.475%→2.375%) | +0.90% |
| 銀行が預金に上げた分(普通預金 0.001%→0.400%) | +0.399% |
| 差し引き | +0.50% |
※日銀の短プラ推移と三菱UFJ銀行の公表預金金利から筆者が引き算した数値
**受け取る方は0.90%上げて、預金者に渡したのは0.399%。**差の約0.50%が、銀行の取り分の増加分になります。銀行は「集めたお金を貸して、その差でもうける」商売なので、金利が上がる局面では収益が伸びやすい立場にあります。
なお、メガバンク各社の資金利益の実額や金利感応度の開示については、今回は各社IR資料の一次確認まで到達できませんでした。ここは上の引き算(公表金利同士の差)だけを根拠にしています。
検証④:日本でいちばん大きな借金持ち=国
国は国債という借用書を出してお金を借りています。買い手は銀行・保険会社・日銀などです。つまり預金として集まったお金も、めぐって国に貸されています。
国債の利回りは4倍になった
| 日付 | 10年国債の利回り |
|---|---|
| 2024年3月19日(マイナス金利解除の日) | 0.744% |
| 2025年9月30日 | 1.662% |
| 2026年9月17日 | 2.993% |
出典:財務省「国債金利情報」(2026年9月21日にCSVを取得。9月17日が最新掲載日)
同じ9月17日時点で、2年債1.868%、20年債3.824%、30年債4.047%です。2年半で約4倍になりました。
国が借金に使うお金
| 項目 | 令和8年度予算 | 前年度比 |
|---|---|---|
| 国債費 | 31兆2,758億円 | +3兆579億円 |
出典:財務省「令和8年度予算のポイント」(予算フレーム・単位億円)
国債費が1年で3兆円超えて増えました。国債費は「借金の元本を返す分」と「利息を払う分」の合計で、金利が上がれば後者が膨らみます。借りている残高が大きいほど、金利上昇の効き方も大きくなります。
増えた分の出どころは、税金か、また借金かのどちらかです。遠回りですが、最終的には家計につながります。
あなたはどっち側?タイプ別の当てはめ
ここまでの数字を、立場ごとに並べます。
| あなたのタイプ | 金利上昇の効き方 | 目安の金額 |
|---|---|---|
| 変動金利の住宅ローンを持っている | 損する側(いちばん大きい) | 3,000万円・35年で月+12,517円 |
| 全期間固定で借りている | 影響なし(借入分は) | 返済額は変わらない |
| 預金がある(元手が小さい) | 得する側だが体感なし | 100万円で年3,187円(税引後) |
| 預金がまとまってある | 得する側 | 1,000万円で年約31,874円(税引後) |
| 借金なし・預金なし | ほぼ中立 | 物価の上がり方の影響のみ |
| 銀行に貸している側(=預金者)として見る | 金利が上がるほど有利 | 定期10年なら年1.250% |
**多数派は「変動ローンを持ちながら、預金は数百万円」**という組み合わせです。この場合、増える返済額のほうが増える利息より大きくなります。金額の大小がそのまま答えになります。
都合の悪い話と、いい話
悪い話
- 日銀は発表文で「引き続き政策金利を引き上げ」る方針を明記している。まだ途中の可能性がある
- 変動で借りている人が75.0%。しかも52.0%が増加額を把握していない
- 国の利払いが増えた分は、最終的に税金か国債に回る
いい話(こちらも同じ量ある)
- 5年ルール:多くの銀行は変動型の返済額の見直しを5年ごとに行うため、金利が上がってもすぐに毎月の金額は動きません。金利が上がった分は元金と利息の内訳で先に反映されます
- 1.25倍ルール:見直し時でも、それまでの返済額の1.25倍までに抑える銀行が多いです。いきなり2倍にはなりません
- つまり備える時間はもらえるということです。ただし待っても利息そのものは消えず、あとに送られるだけなので、その間に手を打つ前提です
- 繰り上げ返済で借入残高を減らせば、同じ金利上昇でも効きにくくなります
- 固定に借り換える選択肢がある。全期間固定なら返済額は動きません(ただし当初の金利水準は変動より高くなります)
- 預ける側に回れる。普通預金0.400%を置いたままにせず、1年定期0.500%・10年定期1.250%に動かすだけで受け取りは変わります
「損する側」に固定されているわけではなく、どちら側に立つかは自分で動かせるのが今回の結論です。
ウワサ格付け:「金利が上がれば儲かる」= Bランク
| 軸 | 点数 | 理由 |
|---|---|---|
| 再現性 | 2 / 5 | 金利が上がったのは事実。ただし個人が実感できる額にはならない |
| 稼げる額 | 1 / 5 | 100万円で年3,187円(税引後) |
| 始めやすさ | 3 / 5 | 預けるだけなら誰でも。ただし元手がないと金額が動かない |
| リスク | 2 / 5 | 変動ローンを持っていると逆に毎月の返済が増える(利用者の75.0%) |
| 手間 | 5 / 5 | 預金者側は何もしなくてよい |
| 合計 | 13 / 25 | Bランク |
ウワサ自体は嘘ではありません。金利は本当に上がり、預金金利も本当に400倍になりました。**問題は主語です。**儲かっているのは主に貸している側=銀行で、多くの視聴者は返済が増える側にいます。ただし預金を動かせば、あなたも貸している側に回れます。
まとめ:数字はこうだった
- 政策金利は1.25%程度(2026年9月18日決定・9月24日適用・日銀)
- 大手銀行の普通預金は0.400%、マイナス金利のころの0.001%から400倍
- ただし100万円を1年預けて手元に残るのは3,187円(税引後・自前計算)
- 変動金利の土台=短プラは2.375%、2年で**+0.90%**(日銀)
- 3,000万円・35年で毎月**+12,517円**、年約15万円(自前計算)
- 住宅ローン利用者の75.0%が変動型、**52.0%**が増加額を把握していない(住宅金融支援機構)
- 銀行が貸す方に上げた**+0.90%と、預金に渡した+0.399%の差0.50%**が取り分の増加
- 10年国債は2.993%(2026年9月17日・財務省)、2年半で約4倍
- 国債費は31兆2,758億円、1年で**+3兆579億円**(令和8年度予算・財務省)
- 次の金融政策決定会合は2026年10月29日〜30日
出典
- 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)
- 日本銀行 金融政策決定会合の決定(2026年)
- 日本銀行「短期プライムレート(主要行)の推移」
- 三菱UFJ銀行 円預金金利
- 三菱UFJ銀行 住宅ローン金利
- 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」
- 財務省「国債金利情報」
- 財務省「令和8年度予算のポイント」
金利・利回り・予算の数値は、2026年9月21日に上記の一次資料(日銀・財務省・三菱UFJ銀行・住宅金融支援機構)を筆者が直接取得して確認したものです。毎月の返済額・利息の手取り・上げ幅の差し引きは、その実測値をもとに筆者が計算した値で、その旨を本文に明記しています。金融商品の選択は各自の判断で行ってください。