「クレーンゲーム専門店はなぜ潰れない?」——100円のうち景品は約35円、店の儲けは約6円。それでも増える理由を数字で検証【2026年版】

ゲームセンターは10年で約半分に減ったのに、クレーンゲーム専門店は出店が続いています。業界団体の実態調査と信用調査会社のデータから、遊んだ100円の行き先(景品約35円・儲け約6円)と、それでも潰れない理由、自分で店を開いた場合の手残りを検証しました。

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駅前やショッピングモールで、クレーンゲームだけを何十台、何百台と並べたお店を見かけることが増えました。1回100円のゲームだけで、あれだけ大きなお店が成り立つのか。一方で「近所のゲーセンが閉店した」という話もよく聞きます。

業界団体の一般社団法人日本アミューズメント産業協会(JAIA)の実態調査によると、ゲームセンターなどの店舗数は2013年度の16,069店から2023年度の8,548店へ、10年でほぼ半分になりました。それなのに、クレーンゲームなどの「プライズゲーム」の売上は2023年度に3,643億円と過去最高を更新しています。

「クレーンゲーム専門店はなぜ潰れないのか」。遊ぶ人が入れた100円がどこへ行くのかを、公表データで追いかけました。

先に結論:ウワサと現実の対照表

ウワサ・疑問検証結果
「ゲーセンはどこも潰れている」店舗数は10年で約半分。ゲーム専業の店は1年で14%減(2,113店)。一方でクレーンゲームなどの売上は過去最高3,643億円
「クレーンゲームは店が丸儲け」100円のうち景品代は約35円(JAIA)。ゲームセンター運営会社の営業利益は売上100円あたり平均6円(帝国データバンク)
「取れないのは台がズルいから」景品は小売価格おおむね1,000円以下という警察庁の基準がある。絶対に取れない設定で客をだました店の経営者らは2018年に詐欺で有罪
「なぜ潰れない?」取れた景品の仕入れ値の約2.9倍をお客さん全体で払っている計算。景品の多くはゲームセンター専用で、ほかの店では買えない
「自分で店を開けば儲かる」台ひとつの売上は年100.7万円(直営店・JAIA)。儲けを6%とすると月約5,000円の目安。警察の許可も必要

そもそも:クレーンゲームはなぜ「景品」を出せるのか

クレーンゲームのように、アームで景品をつかんで持ち帰るゲームは、業界では「プライズゲーム」と呼ばれます。JAIAによると、国産のクレーンゲームは2025年に発売60周年を迎えました。

実は、ゲームセンター(風営法の「5号営業」)は、遊技の結果に応じて賞品を出すことが法律で禁止されています(風営法第23条第2項)。それでもクレーンゲームが景品を出せるのは、警察庁の解釈運用基準で「クレーンで釣り上げるなどした物品で小売価格がおおむね1,000円以下のもの」を提供する場合は、「遊技の結果に応じて賞品を提供」には当たらないと扱われているためです。お客さんは「クレーンを操作する遊び」にお金を払い、取れた景品はおまけ、という考え方です(弁護士JPニュース)。

この上限は以前は800円でした。メーカーの製造コストが上がったことから、JAIAが警察当局に働きかけ、2022年3月1日に1,000円へ引き上げられています(弁護士ドットコムニュース)。

景品の中身は、JAIAの調査に回答した企業が扱った景品のうち、**ぬいぐるみが42.7%、フィギュアが37.5%**で、この2つで約8割を占めます。しかも大手メーカーのプライズは、セガの公式FAQが「アミューズメント施設専用景品として開発された製品となり、一般販売(市販)は行っておりません」と説明しているように、お店では買えない専用品です。

検証①:本当に潰れていないのか——店舗数と売上

JAIA「アミューズメント産業界の実態調査」(2023年度版・JAIA PRESS 2025年8月号)の数字です。

項目数字
店舗数2013年度 16,069店 → 2023年度 8,548店(10年で約半分)
ゲームセンター専業の店舗2,113店(前年度比86.0%)
ショッピングセンター・デパート併設の店舗3,072店(前年度比103.6%)
オペレーション売上高(ゲームセンター全体)5,384億円(前年度比104.7%)
うちプライズゲーム3,643億円(前年度比108.3%・過去最高)

ゲームセンターで使われたお金のうち、プライズゲームは3,643億円÷5,384億円=約68%。10円使われたら、7円近くがクレーンゲームなどに入っている計算です。

減っているのは「ゲームだけ」のお店です。JAIAは、ゲームセンター専業の店舗が「人材確保の難しさやコスト増、業態転換の遅れなど」で撤退が続いていると分析し、「プライズ中心の商品構成にシフトできなかった店舗の閉店やM&Aも相次いで」いるとしています。逆に「プライズゲーム専門店の出店が進み」、「推し活」の需要がアニメやゲーム、アイドル関連のグッズを集めたい人を呼び込んでいる、とも書いています。1店舗に240台のクレーンゲームを並べてギネス世界記録に認定された専門店(エブリデイ行田店・2012年認定)もあります。

つまり「潰れない」のは、クレーンゲームに振り切ったお店のほうです。

検証②:台ひとつで、いくら売り上げるのか

クレーンゲームだけの1台あたりの数字は公表されていませんが、JAIAの調査では、運営会社が自分で運営する直営店舗のゲーム機1台あたりの年間売上高は100.7万円(2023年度)でした。

[直営店のゲーム機1台]
年間売上      100.7万円
÷365日        1日 約2,760円
÷100円        1日 約28回

1台が1日に約28回遊ばれて、その売上から景品代・家賃・人件費・電気代などをまかなっていることになります。

検証③:あなたの100円はどこへ行くのか

JAIAの調査では、2023年度のプライズゲームの売上高に対する景品代の割合は34.5%(前年度33.6%)で、施設が買った景品の総額(景品購入高)は約1,258億円と推計されています。一方、帝国データバンクは、ゲームセンター運営企業の「本業の儲けを示す営業利益は、売上100円あたり平均で6円にとどまった」と報告しています(2024年4月)。

2つを組み合わせると、クレーンゲームに入れた100円の行き先は、おおむね次のようになります(出典の異なる数字を組み合わせた目安です)。

[100円の行き先(目安)]
遊んだお金                  100円
景品代(34.5%)             -約35円
家賃・人件費・電気代など   -約59円
お店の儲け                  約6円

店の儲けは100円あたり約6円。「丸儲け」とはほど遠い数字です。では、なぜ潰れないのか。景品代の割合をひっくり返すと、答えが見えてきます。

100円 ÷ 景品代34.5円 = 約2.9
→ 取れた景品の仕入れ値の約2.9倍を、お客さん全体で払っている計算

3人が100円ずつ出して、1人だけが景品を持ち帰るようなイメージです。しかもその景品の多くは、ほかのお店では買えないゲームセンター専用品で、推しのグッズならなおさら欲しくなります。「ここでしか手に入らない物」に、取れなかった人も含めたみんなのお金が集まる——これが、儲けが薄くてもクレーンゲームのお店が回っている理由です。

なお、景品代の割合は前年度より少し上がりました(33.6%→34.5%)。ただし帝国データバンクは、クレーンゲームでは景品価格も上昇していると指摘しており、取りやすくなったとは限りません。

都合の悪い話:取れない台と、店を開く側の壁

  • 絶対に取れない設定で有罪になった店がある: 2018年6月、大阪地裁は、店員が取りやすい設定で景品を取ってみせ、客の番になると取れない設定に変えていたゲームセンターの経営者に懲役3年・執行猶予4年、元従業員3人に懲役1年6か月・執行猶予3年の判決を言い渡しました。1ゲーム1,000〜5,000円の台でした(弁護士ドットコムニュース)
  • 倒産・休廃業は増えている: 帝国データバンクによると、ゲームセンターの倒産や休廃業などは2023年度に18件で、2年連続で増えました。店舗数は直近5年で3割減っています
  • 開くには警察の許可が必要: ゲームセンターは風営法の5号営業で、公安委員会(警察)の許可が必要です。許可まではおおむね2か月が目安とされます
  • 無許可営業の罰則は重い: 2025年6月28日施行の改正風営法で、無許可営業の罰則は個人が5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金に引き上げられました

それでも残る「出口」

  • 見分けるコツがある: 景品は小売価格おおむね1,000円以下が基準です。明らかにそれを超える高額な景品を並べた台は、ルール違反の疑いがあります。近づかないのがいちばんの自衛です
  • 遊ぶ側は「上限」を先に決める: 取れた景品の仕入れ値の約2.9倍をみんなで払っている計算なので、1個にいくらまで使うかを先に決めて、取れなくても楽しめた額で止めるのが現実的です
  • ほかの商売のお店に置く道もある: JAIAによると、リユース業(古物商)を含む異業種によるプライズゲーム機の導入も進んでいます。ゲーム機の場所が客室面積の10%以下など、条件によっては5号営業の許可が不要になる場合があります(警察庁の解釈運用基準。判断は複雑なので事前に警察・専門家へ確認を)

「おまけの台」でも売上は申告が必要

本業のお店にクレーンゲームを置いた場合、その売上も事業の収入です。会社員の副業でも、給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要になります(国税庁 No.1900)。マネーフォワード クラウド確定申告なら、売上や景品の仕入れ、電気代などの経費をまとめて記録でき、「いくら入って、いくら残ったか」を後から集め直さずに済みます。

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自分でクレーンゲーム店を開いたら、いくら残るか

直営店のゲーム機1台の年間売上100.7万円に、帝国データバンクの「売上100円あたり6円」を当てはめると、次のようになります(目安)。

[台ひとつの儲け(目安)]
年間売上          100.7万円
× 儲け6%          年 約6万円
÷ 12か月          月 約5,000円

月5万円にするには → 約10台

しかもこの6円は、許可を取り、場所を借り、景品を仕入れて入れ替え、設定を調整したうえでの平均です。「潰れない」ことと「開けば儲かる」ことは別の話です。

判定:ずんだ検証ラボ「ウワサ格付け」はCランク

ウワサ「クレーンゲーム店で儲ける」を、5つの物差し(各1〜5点・高いほど取り組む人に有利)で採点しました。

軸点数理由
再現性2儲けは売上100円あたり平均6円。ゲーム専業の店は1年で14%減っている
稼げる額2台ひとつの儲けは月約5,000円の目安。月5万円には約10台
始めやすさ1警察の許可、台、景品、場所がそろわないと始められない
リスク2倒産・休廃業は2年連続で増加。無許可営業は法人で罰金3億円以下
手間2景品の仕入れ・入れ替えや設定の調整が続く

合計9点でCランク。「お店は潰れにくい。でも、儲けは薄い」というのが数字の答えです。潰れないのは、推しの景品をたくさん並べ、たくさん遊んでもらえるお店です。

これからどうなるか

大手では勢いが続いています。GiGOを運営するGENDAの2026年7月の国内アミューズメント施設の既存店売上高は、前年比16%増でした(財経新聞)。一方で警察庁は2026年7月に「遊技場営業について」を公表し、ゲームセンター等営業では遊技の結果に応じた賞品の提供が法律で禁止されていることを改めて周知しました(主な対象はアミューズメントカジノ)。異業種の店舗へのクレーンゲーム導入が広がるなか、ルールを守る店かどうかが、これまで以上に見られるようになりそうです。

よくある質問

Q. クレーンゲームの景品の上限はいくら?

A. 警察庁の解釈運用基準で、小売価格がおおむね1,000円以下とされています。2022年3月1日に800円から引き上げられました。

Q. 100円のうち景品代が約35円というのは、1個35円の景品ということ?

A. 違います。プライズゲームの売上全体に対して、お店が景品の仕入れに使ったお金の割合が34.5%(JAIA・2023年度)という意味です。景品1個の値段ではありません。

Q. 「儲け6円」はクレーンゲーム専門店の数字?

A. 帝国データバンクが報告した、ゲームセンター運営企業の営業利益の平均(売上100円あたり6円)です。クレーンゲーム専門店だけの数字ではないため、本記事では「目安」として使っています。

Q. 取れない台は違法?

A. アームの強さなどの設定そのものを直接取り締まる規定はありませんが、絶対に取れない設定を隠して客にお金を使わせた店の経営者らは、2018年に詐欺で有罪判決を受けています。また、小売価格がおおむね1,000円を超える景品の提供は、風営法上の問題になります。

Q. 自分の店に1台だけ置くなら許可はいらない?

A. ゲーム機の場所が客室面積の10%以下などの条件を満たすと、5号営業の許可が不要になる場合があります。ただし面積の数え方や地域のルールは複雑なので、事前に警察署や専門家に確認してください。

というわけで——「潰れない店」と「儲かる店」は別の数字

ゲームセンターは10年で約半分に減りましたが、クレーンゲームなどの売上は過去最高です。遊んだ100円のうち景品に回るのは約35円、店に残る儲けは約6円。それでも店が回るのは、ここでしか手に入らない景品に、取れた人と取れなかった人のお金が集まるからでした。

「置くだけで稼げる」系のビジネスは、自販機副業の検証でも比べられます。推しグッズの値段の話は、ちいかわグッズ転売の検証もどうぞ。


この記事の主な参照データ:一般社団法人日本アミューズメント産業協会(JAIA)「アミューズメント産業界の実態調査」2023年度版(JAIA PRESS 2025年8月号・https://jaia.jp/wp-content/uploads/2025/08/20258.pdf)/帝国データバンク「『ゲームセンター』の倒産・休廃業解散動向」(2024年4月7日・https://www.tdb.co.jp/report/industry/z3ao13xi8enf/)/弁護士ドットコムニュース「クレーンゲーム景品の上限価格『20年ぶり値上げ』800円→1000円」(https://www.bengo4.com/c_18/n_14189/)/弁護士JPニュース「誕生60年のクレーンゲーム、風営法上は『景品NG』のはずが…なぜ許されている?」(2025年11月14日・https://www.ben54.jp/news/2888)/弁護士ドットコムニュース「景品とれない『クレーンゲーム』、詐欺で有罪に」(2018年6月20日・https://www.bengo4.com/c_8/n_8067/)/セガQ&A「【プライズ】景品(製品)を購入したい」(https://faq.sega.jp/hc/ja/articles/360018928873)/警察庁「遊技場営業について」(2026年7月・https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/yugijoueigilyou.html、Game*Spark 2026年7月8日報道)/財経新聞「GENDA、7月国内アミューズメント既存店売上16%増」(2026年8月20日)/行政書士による風営法解説(許可の目安期間・10%ルール・2025年改正の罰則)/トラベルjp「ギネスも認定!埼玉行田『世界一のゲームセンター エブリデイ』」/国税庁 タックスアンサー No.1900

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